日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、兄と妹の間に起きている相続トラブルについて、相続を専門とする円満相続税理士法人の桑田悠子税理士が解説します。

長女の主張:「兄はずっと優遇されていた」

「元はといえば、父さんの遺産分配から不公平だったんですよ」

 

D子さんは苦虫をかみ潰したような表情で言葉を続けました。

 

「父が亡くなった時、本来はきょうだいで1/4ずつだったところを、兄さんが2/5で、私が1/10でした。たしかに私は十分な稼ぎもあって、生活にも困っていなかったし。だからそのときは『母さんの面倒を見てくれるし、いいか』と納得しました」

 

D子さんは残業も多い職種に勤めており、年老いた母を介護する時間を取れそうにはありませんでした。加えて兄Cさんは実家暮らしだったので、その点においても好都合だったのです。押し付けているような罪悪感もあり、そのときは相続が1/10でも首を縦に振ることができたと言います。

 

「でも母さんは結局ずっと元気で、兄さんの負担はほとんどなかったそうじゃないですか」

 

それじゃあ、私が我慢した意味がないとD子さんは続けます。

 

「まったく感謝してないとはいいません。でも母さんが介護施設に入所するまで、洗濯や料理とか、家事は母さんに任せてたっていうんですよ。それってちょっとおかしくないですか?」

 

D子さんは共働きで、育児や家事も含めて夫と分担しています。また子どもの受験も控えており、これからお金がかかる時期です。

 

それでやったつもり!(※写真はイメージです/PIXTA)
それでやったつもり!(※写真はイメージです/PIXTA)

解説:きょうだいの相続争いを防ぐ、唯一の手段は?

兄弟の相続争いを防ぐ手段が1つだけあります。それは、親が生前に「遺言書」を書いておくことです。

 

有効な遺言書があれば、基本的には、相続人などのうち1人でも遺言書の通りに分けたいと言えば、その遺言書通りに分けるしかありません。そして、書いた本人はもう天国にいるので、文句の言いようもありません。

 

そのため「うちの子どもたちは揉めない!」と思っているあなたも、念のために遺言書を書いておくことを推奨します。

 

その際には、遺留分を侵害していないか、相続税がかかるご家庭の場合には特例適用が問題ないか、納税財源が確保されているか、まで鑑みて作成することが、より望ましいです。

 

配慮不足の遺言書があることにより、逆にトラブルが発生してしまう悲しいケースもありますので、専門家に相談しながら作成してみてください

 

 

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    ※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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