ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。今回は、同社の「ジャパンロジスティクスマーケットビュー 2021年第1四半期」より一部抜粋し、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大による「マスク特需」で好調だった首都圏の物流施設を中心に、最新の動向を見ていきます。

近畿圏:テナントは新規契約に慎重で、賃料上昇を警戒

 

賃料上昇に警戒感も

近畿圏LMTの空室率は1.9%と、対前期比1.8ポイント低下した。近畿圏で空室率が2%を下回るのは、2016年Q2(1.9%)以来。今期竣工した2棟のうち1棟が満床稼働したほか、湾岸部で既存物件の空室消化が進んだ。向こう2四半期の供給予定物件は、複数の物件で一棟借りが内定しており、空室率は低い状態が続く見通しである。

 

しかし、コロナ禍の影響で業績が低迷している企業もあり、既存物件で空室や転貸区画の募集が出てきている。内陸部といえどもリーシングの進捗ペースは落ちてきており、今後は物件の競争力見合いで稼働率に格差が出てくるだろう。

 

実質賃料は、対前期比横ばいの4,020円/坪。過去2年間で13%上昇していることや業績見通しへの不安から、テナントは新規の契約に慎重になっており、賃料上昇は抑えられている。

中部圏:2022年の大量供給を控え、誘致活動が活発

 

新規供給を控えて誘致活動は活発に

中部圏LMTの空室率は対前期比1.7ポイント低下の8.6%となった。今期は新規供給がなかったが、前期竣工物件で空室の一部が消化されたことが空室率低下の理由である。

 

移転元のスペースも後継テナントが決定するなど、テナントに動きがみられるようになってきた。2022年は約17万坪の大量供給を控えているため、オーナー側のテナント誘致活動も活発になっている。実質賃料は3,590円/坪、4四半期連続で対前期比横ばいとなった。

福岡圏:2019年Q2以降、空室率0.0%が続く

 

LMTの空室率は0.0%

今期から福岡圏LMTの指標を公表する。空室率は2019年Q2以来、0.0%が続いている。今期は鳥栖地域の新規供給1棟が満床で竣工。2021年はさらに2棟の供給が予定されているが、いずれも既に一棟借りで満床となっている。

 

従前は供給が少なく、倉庫スペースが不足していたため、供給が増えても需給バランスは逼迫したままである。そのため、まとまった面積を必要とする企業は、さらに先の開発計画の賃借を検討している。

 

実質賃料は3,170円/坪、対前期比+0.6%。LMTの開発が広まるなかで、より使いやすい構造の施設は評価が上がりつつある。

その他の地域:札幌市周辺は、一段の賃料上昇を予想

地方都市で大手企業の内定続く

今期もいくつかのマルチテナント型の施設で、テナントの決定もしくは内定が進んだ。高速道路へのアクセス性がよい、または住宅地至近といった、優れた立地の開発計画については、大手企業が早い段階から入居の検討を始める例がみられる。

 

空室不足感が強い地域では、賃料水準が見直されつつある。特に札幌市周辺は、これまで他の都市と比べて賃料水準が低かったこともあり、今後は一段の上昇となりそうだ。

 

関連記事:ジャパンロジスティクスマーケットビュー 2021年第1四半期

 

 

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