コロナウイルス抗原検査・抗体検査はどのような性質を持ち、どの程度参考になるのでしょうか。そして、前回までにも解説してきた通り検査には限界があります。概念が分かりにくい感染症とウイルスについてどう考えるべきか、感染症医の著者が解説します。※本記事は、岩田健太郎氏の著書『僕が「PCR」原理主義に反対する理由』(集英社インターナショナル、2020年12月刊)より一部を抜粋・再編集したものです。

知覚できないウイルス、大切なのは正しく恐れること

今さら言うまでもないことですが、ウイルスは目に見えません。手で触っても知覚できないし、口に入ったからといって味を感じることもありません。ウイルスには何の匂いもなく、音を発することもない。人間の五感ではウイルスを感知できないわけです。

 

しかも体内にウイルスが入ったとしても、発症するとはかぎりません。

 

さらに発症したからといって、それを本人が自覚するともかぎりません。

 

自分の体の中にウイルスはいるのか、いないのか。それは医学的な検査で判定することができます。しかし、ここまで延々と書いてきたとおり、検査には限界があります。「この人は感染しているかどうか」という医者の見立ても、時には間違えます。これが感染症の分かりにくいところです。

 

たとえばPCRひとつをとっても、その説明には結構な時間を費やさなければなりません。言葉を尽くし、あれこれ具体例を挙げながら説明しても、理解してもらえないことはよくあります。納得してもらえないこともよくあります。なおかつ新型コロナウイルスは、人類が初めて対峙するウイルスです。分かっていることは少なく、分からないことは圧倒的に多い。決定的なワクチンも、決定的な治療薬も、今のところありません。

 

 

感染症という概念が分かりにくい上に、新型コロナウイルスの特性もよく分かっていないわけです。だからこそ過剰に恐がる人がいるのでしょうし、アメリカのトランプ大統領やブラジルのボルソナロ大統領のように「新型コロナはちょっとした風邪」などと過剰に軽視する人もいるのでしょう。

 

大切なのは、正しく恐れることです。

 

何が事実なのか。何がデタラメなのか。事実である可能性が高いのはどんなことで、事実である可能性が低いのはどんなことなのか。まったく分からないことは何なのか。

 

そうした線引きをもとに行動を決めていくのが「正しく恐れること」です。

 

 

岩田 健太郎

神戸大学病院感染症内科 教授 

 

 

僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

僕が「PCR」原理主義に反対する理由 幻想と欲望のコロナウイルス

岩田 健太郎

集英社インターナショナル

なぜ、ノーベル賞科学者でさえも「コロナウイルス」が分からないのか? その理由は日本人独特の「検査至上主義」にあった! 人間の体は宇宙よりも謎に満ちていて、素粒子よりも捉えがたい。そのことを知らないで、「机上の…

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