多くの家庭で、親の「死」はいずれ直面する問題です。ファイナンシャルプランナー・安田まゆみ氏の『そろそろ親とお金の話をしてください 』(ポプラ新書)より相続トラブルを防ぐ秘訣について解説していきます。

相続法の改正で、もめごとは少なくなる?

2018年に「相続法」が改正されました。改正の主な内容は次の通りです。

 

●配偶者居住権の創設

●預貯金の払い戻し制度の創設

●自筆証書遺言の方式緩和(自筆証書遺言に添付する財産目録の作成がパソコンで可能に)

●自筆証書遺言の保管制度の創設(法務局で自筆証書による遺言書が保管可能に)

●遺留分制度の見直し

●特別の寄与の制度の創設

 

この中でも私が一番気になっているのは「特別の寄与の制度の創設」です。これによって、被相続人の介護や看病で貢献した親族は、相続人でなくても金銭を要求することが可能になりました。

 

たとえば、親が死亡した場合、子どもなどの法定相続人は被相続人の介護をまったく行っていなかったとしても、相続財産を取得することができました。他方、長男の妻などはどんなに被相続人の介護に尽くしても、相続人ではないため、相続財産の分配にあずかれません。この不平等感をなくそうというのが、今回の改正の趣旨です。

 

しかし、遺産分割の手続きが過度に複雑にならないよう、遺産分割は現行法と同じまま相続人だけで行うこととしつつ、相続人に対して金銭の請求を認めることとしただけなので、介護をしていた人が確実に報われるようになるかというと……相当ハードルは高いのです。

 

まず、「特別寄与者」になれるのは、相続人ではない親族です。民法上の親族は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のことですので、事実婚の妻や家政婦などが介護や看病をした場合は、特別寄与者にはなれないということになります。

 

特別寄与とは、「無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合」です。しかし「通常期待される貢献を超える必要」があるとなると、どこまでの貢献が特別の寄与として認められるのでしょうか?

 

また、「無償で療養看護その他の労務の提供をしたことによる」ということは、無職で介護をしていた方が、生活費など労働の対価を受け取っていた場合には請求できなくなります。

 

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そろそろ親とお金の話をしてください

そろそろ親とお金の話をしてください

安田 まゆみ

株式会社 ポプラ社

離れて暮らす親の老いは、子どもにとって心配の種。 そのひとつに「お金」の問題があるが、親子の間でもお金の話はなかなか聞きづらく、つい先送りにしてしまっている人が多い。 だが、もし親が認知症になってしまったら、…

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