どんなリスクが潜んでいるかわからない「家と土地」。髙橋土地家屋調査士事務所代表・髙橋輝氏の著書『買ってはいけない家と土地』(自由国民社)より一部を抜粋・編集し、自宅を購入する際、調べておきたいポイントについて紹介していきます。

「都市計画道路予定地」は買わないほうがいい?

〜建築制限があるとはいえ、お買い得なの?〜

 

・都市計画道路予定地には、計画決定したものと事業決定したものの2種類がある

 

物件探しをしていて、「土地の一部に都市計画道路A線が計画決定されています」などという記載を見たことがありませんか。重要なことなので業者側には告知する義務があるのですが、このように記載されていても、何を意味するのか分からない方も多いのではないでしょうか。

 

都市計画道路とは、都市計画法により都市の健全な発展と機能的な都市活動を確保するために定められた道路のことで、道幅を拡幅したり、新しく通したりすることが決められたものです。都市計画道路は、次の2つのステップを踏むことにより事業が進められます。

 

計画決定 将来、道路を拡幅したり、新たな道路を通すということが決まった段階です。事業に着手する時期などはまだ具体的に決まってはいません。

事業決定 実際に工事に着手することが決まった段階。土地収用や立ち退き交渉、実際の道路の築造工事に取りかかるため、新たに建物を建築することは原則としてできません。

 

計画決定した段階では売買することができますが、都市計画道路の予定地には建築できる建物が制限されてしまいます。原則として、木造、鉄骨造、コンクリート造などで、2階以下の、地下室のない建物しか建てることができません。このような制約を受けるため、価格は近隣相場より少し安く購入できることが多いです。

 

難しいのは、計画決定してから何十年も事業決定とならない土地もあるという点です。所有する全ての土地が事業決定になってしまえば、引っ越しを余儀なくされますし、一部が計画道路であれば土地の一部分を道路に提供することになります。

 

ただし、事業決定して立ち退きになれば、補償料が支払われます。住んでいる土地が対象になった方に話を聞きましたが、相場より高い金額の補償料が支払われたとか、ハウスメーカーなどで新築の家が建つぐらいの補償料が支払われたということで、損をしたという感覚はないようです。

 

金額はケースバイケースのようですが、補償金を狙って、あえてこうした土地を購入する方もいるようです。ただ、このように投機的な目的で購入する方は別として、マイホームとして率先して計画道路予定地を購入する必要はないと思います。

 

なぜなら、事業決定すれば、ある程度の期間内に立ち退きしなければならなくなります。個人の都合で自由に引っ越せるというわけではありません。それに、長く住めば、土地に対する思い入れも深くなってくるものです。周りの方との人間関係も形成されてきます。都市計画道路予定地と知って住んでいた方でも、いざ事業決定になった時にはビックリする方も多いようです。

 

 

髙橋 輝

髙橋土地家屋調査士事務所代表

 

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