リソースの中でも最も扱いが難しい「人」
リソースの中でも最も扱いが難しいと言われている「人」。自らの意思を持ち、自ら判断するその判断の基になる根拠が論理的であるか否か、心に訴えるものであるか否かに関係なく、組織の階層を構成したり、役目を担う。
扱いにくさの源泉は個々が持つ価値観というものであろう。生まれ育った環境や獲得してきた経験もそれぞれである。機械やプログラムとは異なり、その日、そのときによって気分の浮き沈みもある。
だからどんな組織でも人間関係のトラブルは尽きない。この「人」という面倒なリソースを巧みに使いこなすことができるか?ということが、管理職としての能力を反映するパラメーターとなっているような側面もある。
それだけなのはどうかと思ってしまうこともあるが、それくらい「人」は扱いが難しい。もちろん、企業のように活動資金が底をつくと終わってしまうこともあるが、基本的に組織というものは、生き物のように一定の期間で機能が停止して終わりを迎えるということがない。
従って、継続的に組織の目的を果たすことができるような仕組みや方法を考えることにエネルギーを注ぐ。しかし、それらを考案したり、エネルギーを注ぐのは「人」なのである。
「人」には寿命があるから、組織の理念を継承しつつ、より一層の繁栄を担ってくれる後進が必要になる。そして後進の育成に相当なエネルギーを注ぐ。管理職に「人」を育成する役目を課している組織は少なくない。
「人」は多様な価値観を持つので、個々の価値観に基づき、常に分析・評価・行動というものを実施している。価値観に基づき、好ましくないと評価した環境から離脱したくなることは、自然のことである。
理由は多様で、処遇・待遇面であったり、やり甲斐であったり、経験できることであったり、スキルを磨く機会であったりと様々である。育成のみならず、関係するステークホルダーとの良好な関係を構築したり、新たな人脈を構築したりと、ヒューマンスキルが弱かったら仕事にならないと言われるほど、多くの書籍がヒューマンスキルを取り上げている。
社内政治について書いてある書籍もあるが、社内政治が必要かどうかは組織が健全かどうかのバロメーターであると思う。組織の活動を良い方向に進めるためにも、多くのメンバーの賛同、そして一人でも多くの協力者を集めることにつながるスキルや行動特性を身に付けることを考えてほしい。
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冠 和宏
株式会社アセントデベロップメントサービス
取締役副社長 兼 開発本部長
20年以上、医薬品の研究開発に従事。これまで第一三共株式会社およびファイザー株式会社にて日米の開発組織でキャリアを歩み、海外も含めた臨床開発の戦略立案業務全般に深く関与。
専門分野は、企業治験及び医師主導治験、そして組織マネジメント、戦略構築から治験オペレーションと幅広く、学術面でもレギュラトリーサイエンスのエリアで幅広く活躍中。
現在は、自ら設立した法人を通じ、臨床開発・組織及び人材開発の専門家としてコンサルティング業務に従事。現職に加えて、2019年7月より株式会社アセントデベロップメントサービスの取締役副社長兼開発本部長を兼任している。
また、厚労省ベンチャーサポート事業のサポーターやアカデミア組織の客員講師などの兼任、更に製薬業界の業界団体にあたるDIA Japan にも所属し、2018年はDIA日本年会のVice ProgramCommittee Chairを務め、また2019年より人工知能とデジタル技術の利活用にフォーカスしたシンポジウム(Cutting edgeシリーズ)のプログラム委員長を務めている。
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