不動産の賃貸契約・売買契約には、しばしばトラブルがつきまといます。日本人の場合、裁判が比較的身近な欧米人と比べ、訴訟を敬遠する人が多い傾向ですが、「おかしい」と思ったら泣き寝入りは禁物です。本記事では、不動産に関する契約の場で起こりがちな裁判事例を中心に解説します。

不動産売買契約にかかわる訴訟の事例

 

ここからは、不動産にまつわる実際の訴訟事例を紹介しましょう。誰の身にも起こりうる、よくあるケースばかりです。

 

●「富士山が見える」といわれたがウソだった 

 

訴訟内容

未完成の新築マンション売買で、買主が不動産会社から「バルコニーから富士山が眺められますよ」と説明されたことを理由に契約したものの、建物が完成してみれば隣のマンションに遮られて富士山が見えなかった。買主は不動産会社に対して契約解除とともに手付金の返還と損害賠償を求めた。

 

結果:判決/買主への手付金返還と損害賠償金の支払い

不動産会社の調査・確認不足と、販売広告の建物完成予想パースに富士山の眺望が描かれていることが購入者の誤認を招いたとして、不動産会社に対し買主への手付金返還と損害賠償金の支払いが命じられた。

 

●警察沙汰の隣人トラブルを隠ぺいされた 

 

訴訟内容

中古マンションの売買で、売主と隣人との間で口論トラブルがあったことは不動産会社から説明されたが、隣人からの執拗な嫌がらせ(過去、洗濯物に水や泥をかけられて警察沙汰になったことがある)については説明がなく、住み始めたら同じような嫌がらせを受けることになった。買主はこのマンションで暮らすことを断念し、不動産会社に説明義務違反があるとして損害賠償を請求した。

 

結果:判決/買主への損害賠償金の支払い

近隣住民へのプライバシー配慮は必要なものの、過去に起きた客観的事実については説明すべきとして、不動産会社に対し買主への損害賠償金の支払いが命じられた。

 

●ニセモノの売主と売買契約を交わしてしまった 

 

訴訟内容

土地の売買で、自分が所有者だと偽る第三者と、それに気付かない買主とが契約を交わし、その後の所有権移転登記の際も司法書士が本人確認書類の偽装を見落とし、法務局での最終チェックで売主が本人(土地所有権者)でないことが発見された。買主は売主の本人確認を怠った過失があるとして、登記手続きを担当した司法書士に対し損害賠償を請求した。

 

結果:判決/担当の司法書士有責

本人確認を怠った司法書士の責任が認められた。

 

 

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    ※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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