成果が上げられない社員は当然ながら"お荷物"になってしまいます。ところが、現在の雇用制度では正社員はよほどの理由がない限りは解雇できません。使えないとわかりながら、定年まで何十年も面倒を見るしかないのです。当人にとっては非常にありがたい制度ですが、企業にとってはリスクでしかありません。
仕事ができる正社員が「業務」を失うことも…
ある分野では仕事ができる正社員でも、その業務がなくなって行き場を失ってしまうケースもあります。
例えば近年、経費精算にクラウドシステムを導入する会社が増えています。交通系ICカードやクレジットカードの支払いデータを自動で取り込んだり、領収書をスマホ撮影すると文字情報を読み取ってデータ化して経費申請、承認フローに回るという便利なものです。データはクラウド会計システムにも自動で取り込まれます。
どこもだいたい同じだと思いますが、これまでは紙の申請書に日付と内容と金額を書いて、領収書を添付して経理部に提出していました。経理担当者は申請内容の妥当性や数字の正確さを吟味して処理していましたが、クラウドシステムが導入されるとそうした業務の大半は機械があっという間に行います。となると、経理部の人員を大幅に削減できてしまいます。
ここでは経理の例で説明しましたが、こうしたクラウドシステムは今や人事や営業管理といったあらゆる部門で提供されています。企業としてはそうして生まれた余剰人員を、必要な部署に配置転換して活用したいところですが、ある部署で適性があった人材が他部署でも有用であるとは限りません。年齢や役職、労働組合との申し合わせで、異動ができない場合もあります。
経済はドラスティックに動いているのに、正社員の雇用が足かせとなってそれに対応しきれない。正社員が経営改善の負担になっているという声は、多くの経営者から聞いています。
企業の立場から見た理想は、必要な人材を必要な時だけ必要に応じて使える雇用システムです。正社員からすれば「何と都合のいい話だ」となるのでしょうが、労使双方にメリットがあれば、そうした雇用システムが実現するのも必然ではないでしょうか。
雇用上制約の多い正社員を抱えることがリスクになる
体脂肪計で国内シェアトップの健康機器メーカー「タニタ」(東京・板橋)では、2017年、タニタ本体勤務の正社員の中で希望する人をいったん退社させ、個人事業主(フリーランス)として業務委託契約して同じ業務を続けてもらうという人事制度を導入して話題になりました。
制度を選択した正社員は、定年までの継続雇用という安定を手放すことにはなりますが、自分の好きな場所で好きな時間に働く自由を得ます。少ししか働かなければ収入は下がりますが、たくさん仕事をすれば収入は上がります。
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