「雨に唄えば」「巴里のアメリカ人」「踊る大紐育」、数あるヒット作を支えた俳優でダンサーのジーン・ケリー。ミュージカル映画のダンス研究を続ける医師の元来渉氏は書籍『踊る大ハリウッド』で彼の魅力を語っています。今回紹介するのは、「踊る大紐育」のもとになった「オン・ザ・タウン」。

「バーンスタインの曲は前衛的すぎる」で、ひと悶着

映画の企画段階では困難もあった。フリードは当初から、バーンスタインの曲が前衛的すぎて大衆相手の映画にはそぐわないと考えていた。そのためバーンスタインの曲の利用は一部にとどめ、ナンバーの多くを新たに作るつもりだった。契約上からもMGMはバーンスタインの曲のすべてを使わなくてはいけない義務はなかったが、一方でバーンスタインには新しく使われる曲に対する第一拒否権があった。

 

この問題を解決するため、MGMの法務部が間に入り妥協策が話し合われた。結果として、バーンスタインが拒否権を放棄する代わりに、MGMは映画で未使用の曲の権利をすべてバーンスタインに返却することで両者は合意した。また彼が映画のクライマックスで使われる曲を作るためにカリフォルニアに来ることにも同意した。それでも自分の曲を映画でどう扱われるのか不安になったバーンスタインは、編曲を旧知のソール・チャップリンが担当するようフリードに頼んだ。

 

バーンスタインのスタジオへの態度は寛大だったが、このような事態を心から納得していたわけではなかった。後年のインタヴューで、MGMには自分の名前を大きくクレジットに出すことは止め、使った曲だけに名前を載せてくれるよう言ったと述べている。

 

フリードは脚本のコムデンとグリーンに状況を説明した。バーンスタインの一部の曲を残し、その他のナンバーはロジャー・イーデンスが作曲すること。二人には新しい曲にも作詞をしてもらいたいこと。曲の変更などを踏まえて、脚本に手直しが必要なことなどであった。コムデン&グリーンはバーンスタインとの友情からすぐには了承できなかったものの、最終的に上記を受け入れ脚本作りが始まった。

 

物語は次のようである。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『踊る大ハリウッド』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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