現役教師の小林宣洋氏は書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』のなかで、教諭と生徒の「ピアス」をめぐる諸問題を紹介しています。

「大事にしているんです」…職員会議での結論は?

ずぼらな性格のT男が、毎日丁寧に薬を塗って手入れをしたり、朝、学校へ行く前には芯だけのものに着け替えて、帰宅するとまたピアスを着けて、と面倒臭がらずにせっせと一生懸命やっていて、本当に感心するくらい大事にしているということだった。

 

また、ピアスの価値観については、ずっと以前に長期インドに滞在したことがあったが、そこでは、現金を持っていることは危険であり、貴金属に替えて身につけていることが一番安心なため、みんな耳の周りに十数個もの穴を開けてピアスをしている。それが財産管理の最も安全な方法なんだということだった。父親が骨董商を営んでおり、世界を駆け回っていることもあって、異文化感覚にあふれているように感じられた。

 

これまでの経緯を踏まえて、できる限り許してもらえるように職員会議に臨む旨を伝えたところ、快諾していただき、家庭訪問を終えた。

 

翌々日の職員会議では、まず、家庭訪問した時の話をし、保護者の意向も踏まえて、「学校にはピアスを着けてこない。穴がふさがらないようにするための芯だけのものは許す」ということではどうか、という提案をした。

 

保護者の意向ということはかなり効いたようで、その方向で話が進んだ。そして、穴がふさがらないように安定するのにはどれくらいかかるのかという議論になり、養護教諭の3カ月ほどで安定し、その後はふさがらなくなるとの見解により、3カ月間は芯だけのものを着けてくることは許すが、それ以降は許さないということで合意した。そして、そうしたことが守られなかった場合には、即座に全て無しということが付け加えられた。

 

その日のうちにT男に伝えた。諸手を挙げて喜んだという印象はないが、一応、ホッとしたといった空気が流れたように感じられた。むしろ「え、それでいいんですか……?」といったキョトンとした表情をしたようにも思われた。ホッとしたのは、私だったのかもしれない。

 

この事例を記録した時には書き入れていないが、始業式の日には、校長室において、校長・教頭とともに3人で、その後の指導の展望について協議をしている。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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