現役教師の小林宣洋氏は書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』のなかで、教諭と生徒の「ピアス」をめぐる諸問題を紹介しています。

不登校が続き…家庭訪問の末、母と話したが。

この後、T男と面談をした。意見交換会の話を受けてどう思ったのかを聞いたところ、「特に、今までと気持ちは変わっていません」とのことだった。それぞれの教師の話については、「言っていることを間違っているとは思いませんが、自分の気持ちが変わるほどのことではありません」という返答だった。

 

二日後の職員会議でもう一度話し合うことになっており、その決定を待つこと、そして、できる限り穴がふさがらないように透明のピアスだけは許してもらえるように努力する旨を告げた。さらに、どのような決定が下されようとも、T男が考えた3つの対応のうち、二つ目の「無視する」は絶対に許さないということも伝えた。

 

同時に、ピアスが許されているような学校を例に挙げて話したり、私が中学生の頃は非行の走りとして許されていなかった、例えばエレキギターなども、数年の後には全く問題なく学校で演奏できるようになったことなどの話をし、ピアスについては今の段階では時期尚早であるのではないかという感触についても付け加えた。

 

話の内容には納得して聞いているようだった。しかし、ここまで来たら引くに引けないといった感じが強く窺われた。特に部活顧問のH教諭とのやり取りにおける理不尽さというものに対する不満を口にし、「単にピアスの『問題』だけなのだろうか!?」という思いもよぎった。

 

この日、家庭訪問し、母親と面談をした。

 

家へ行くと、当初、大変恐縮した様子で、「本当にあのバカ息子は、『ピアスを取って、学校に行け』って言うんですけど、全然聞かなくて」と切り出された。

 

私の方からは、今のT男にとっては一番大切なものであることと、小学生の時に初めてピアスの穴を空けたのは、お母さんだったわけで、そうした母親の価値観を完全否定されることへの抵抗は、当然の心の動きであり、むしろ、大切なのではないかという旨のことを話した。

 

そうしたところ、母親は、最初に切り出した時は学校に歩調を合わせるために無理をしているかのように、元気に大きな声を張り上げて話されたが、私の話を受けてご自身の考えを素直に述べて良いということが伝わったからか、落ち着いた口調へと変わり、少なくとも学校主導からT男や家庭の立ち位置へと戻って話されるようになった。

 

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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