「DIYじゃダメですか?」の油断が招く甚大な損害
外壁塗装を考える際に「DIYで予算を抑えよう」と考える人もいます。
まさか屋根を自分で塗装しようという人はいないとは思いますが「外壁くらいなら」と考える人はいるのではないでしょうか。
実際、「自分でできる部分はありますか」と聞かれることがあります。相談を受けて現場を見に行ったときに、明らかにDIYで塗装した壁で、きれいに直したいと依頼されることもあります。感覚的には、部分的な補修依頼まで含めると、10件に1件はDIYのやり直しの相談です。
先に結論からいうと、外壁塗装のDIYはやめたほうがよいでしょう。
想像しているほど安く収まることはありませんし、時間も手間も業者に任せた場合の何倍もかかりますし、なにより危ないからです。
費用面で見ると、塗料、養生、洗浄機など揃えるだけで数十万円かかります。そのほかに刷毛やローラーも必要です。足場も必要で、最低でも15万円はかかるでしょう。
期間や手間については、足場の業者を探すところから始め、塗料などを一式揃えるだけでも1ヵ月はかかるでしょう。高圧洗浄の機械を手配する必要がありますし、実際に洗浄する際にはご近所に汚れが飛ばないように養生する必要があります。
そこでようやく塗装できる状態になりますが、さらに数ヵ月かかります。半年以上かかることもあります。春に塗り始めたとして、気づいたら冬になり、作業を中断することもあります。ゴミも大量に出ます。
そして、危険です。
足場に立っての作業は、地上数メートルでも落ちたら致命傷になります。現場慣れしている現役の職人ですら怪我することがあるのですから、知識はあるけど未経験の素人にとってどれだけ危険かは容易に想像できるでしょう。
仮に数十万円セーブできるとして、命をかけてまでやることではないでしょう。
しかも、そこまで手間ひまかけて塗装しても、きれいに仕上がるとは限りません。正しく塗装できていなければ塗料の機能も発揮できません。そして塗料の選定を間違えば塗膜が剥がれます。
安く済まそうとした結果、やり直すときに業者がDIYで塗った部分を剥がす作業が発生し、高くつくこともあります。
結果として業者に塗り直しを依頼し、DIYで費やしたお金、時間、労力が無駄になるなら、最初からプロに任せたほうがよいでしょう。
「ちょっとした剥がれくらいなら……」
「コーキングの補修なら……」
そう考える人もいますが、やはりお勧めできません。
なぜなら、すぐに直せそうな塗装の剥がれに見えても、単に塗料を塗れば補修できるというわけではないからです。
きちんと塗装するためには既存の塗装を処理して、下地を塗る必要があります。この工程を飛ばして上塗りしても、すぐに剥がれてしまうでしょう。
コーキングも同じで、増し打ちして見栄えが悪くなることがありますし、打ち替えに失敗すると、そこが雨水の新たな侵入口になる場合もあります。
このようなデメリットを総合的に考えると、外壁塗装のDIYは百害あって一利なしなのです。
久保 信也
株式会社リペイント匠 代表取締役
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