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労働人口・賃金・失業率から占うニュージーランドの成長性

世界経済が伸び悩むなか、ニュージーランドは大半のエコノミストの予想を上回る大きな成長を続けています。今回は、労働人口・賃金・失業率の3つのデータをもとに、ニュージーランドの今後の展望を見ていきましょう。

エコノミストの予想を上回る成長を見せたNZ

ニュージーランド統計局(Statistics New Zealand)の報告によれば、1.2%の雇用増加が3月期にあり、民間部門の労働コスト指数が示す年間賃金上昇率は1.8%上昇し、雇用増加および賃金上昇が大半の予想を上回りました。

 

 

 

ニュージーランドの3月期の労働市場は予想を超えて伸び、誰もが予想した以上の雇用成長と賃金上昇をもたらしました。

 

ニュージーランド統計局が発表したデータによって、大半のエコノミストおよび金融市場が今回の発表以前より予想していたように、準備銀行が予定する6月9日の政策金利切り下げ実施のハードルが、わずかに引き上げられる可能性があります。この発表直後、NZドルは20ベーシス・ポイント上げて69.3米セントとなりました。

 

賃金上昇に見て取れる様々な兆候から、エコノミストらは、今回の予想以上の雇用成長が6月9日の政策金利切り下げには影響しないと考えています。

 

ASB銀行の幹部は以下のように述べています。

 

「この結果を受けて準備銀行が行動を起こすとは考えられません。年の終盤には2度に渡る切り下げが実施され、政策金利は1.75%となるだろうとの見方を変えていません。賃金上昇値および雇用市場の強い反発を好材料と捉えるでしょう」

 

「しかし、私たちの予想する通り労働参加率が高いままであるなら、この低水準の賃金上昇が低インフレ予想にとって追い風となるでしょう」

 

ニュージーランド統計局の報告によると、3月期の雇用は12月期より2万8,000人、または1.2%伸び、これはエコノミストの予想を約0.6ないし0.7%上回り、準備銀行の0.5%という予想を上回るものでした。

 

[図表1]ニュージーランドにおける2013年〜2016年までの雇用率

「失業率」の上昇は労働人口の増加が理由

今期の雇用成長率は2013年以来最も高いものでしたが、労働参加率が0.5%上昇して69.0%となり、また労働年齢人口が増加したことから、3万8,000人の労働人口増を相殺するには至りませんでした。

 

労働参加人口の上昇は前期の同人口の落ち込みから逆転し、またその成長率もエコノミストの予想を超えるものでした。

 

これは、12月期の失業率がそれ以前の5.3%から5.4%に上昇し、以前より予想されていたように今期での上昇が5.7%となったことを意味します。

 

失業率上昇の一因は、昨年来の2万9,000人に及ぶ労働年齢人口の増加、および移民人口の増加に裏支えされた労働人口の増加にあります。より多くの人が求職活動を開始または再開したため、労働年齢人口に占める無職人口は9,000人減少しました。

 

昨年までの4万7,000人に及ぶ労働人口増の内、ほぼその半数がオークランドでのものであり、1万7,500人に及ぶ建設従事者および専門家の雇用人口の増加によるものでした。オークランドの最近の物件増加によるハロー効果を受けて、ベイ・オブ・プレンティの失業率は前年の7.8%から5.1%に減少しました。

 

[図表2]ニュージーランドにおける2013年〜2016年までの失業率

「賃金」は大半の予想を上回る上昇率

指数は、予想された賃金上昇率を上回りました。

 

民間部門の賃金上昇率を示すLCI(労働コスト指数)は、3月期には前期と同様、0.4%上昇しました。これは準備銀行ならびにエコノミストのコンセンサス予想を0.3%上回り、3月期の民間部門の年間賃金上昇率を12月期の1.6%から1.8%へと押し上げました。

 

1.8%の残業時間を含むLCIの年間賃金上昇率は、準備銀行の予想と一致するものでした。

 

また、別の四半期別雇用調査による正社員の一人当たりの週の平均収入は前年に比べ2.3%上昇しています。過去一年間で賃金が上がった労働者の57%において、上昇率は2.9%、賃金上昇率の中央値は2.2%でした。

 

[図表3]ニュージーランドにおける2006年〜2016年までの賃金上昇率

 

ANZ銀行のシニアエコノミストであるフィリップ・ボーキン氏は、今期の民間部門のLCI賃金上昇率である0.4%を挙げ、賃金サイクルの転換の兆しがこの指数にはっきりと表れているとしており、以下のようにも発言しています。

 

「一般的に低インフレ状況の結果として、上昇率は未だ低いままですが、予想以上でした」

 

「さらにこの賃金上昇の分布から、賃金が上がった労働者の比率が小さく、LCI分析ではこの1年間に3.1%(2014年第二四半期以来最高の伸び率)上昇していることが分かります。建設部門の賃金上昇(カンタベリー以外)は少なくとも2010年以来、最も進んでいます」

 

「今日の指標は追加金融政策緩和の可能性を排除しません。第4四半期の同指標は堅調維持されましたが、準備銀行は3月に切り下げを実施しました。乳業部門、NZドル、そして世界経済の低迷が、切り下げを巡って論議を呼びました」

 

「しかし住宅供給と経済競争の再てこ入れを伴う労働市場の受け入れ容量の減少により、追加緩和の実施(直近で6月)が確定的ではなくなりました」

 

ASB銀行のチーフエコノミストであるニック・タフリー氏は、データは堅調であるとしながらも、労働市場の受け入れ容量問題はまだ解決していないとし、以下のようにも発言しました。

 

「労働参加率の上昇に関連し、様々な報告書では緩やかな賃金上昇圧力が続くことを示唆しています。準備銀行が、賃金上昇圧力と自身の予想とが同等であったことで慰めを得ている一方で、データは労働市場が同行の予想ほど確固たるものではないことを示しています」

 

「私たちは今でも準備銀行が6月から年末迄の間に50ベーシス・ポイントの政策金利切り下げを実施するとみています」

 

ウエストパックのシニアエコノミスト、アン・ボニフェス氏は、以下のように述べました。

 

「失業率は予想を上回るものでしたが、基礎となる詳細データは健全です。今日のデータでは、インフレ面で準備銀行が懸念する要因はありません。極端に言えば、自身のインフレ予想により一層安堵しているかもしれません」

 

「強い雇用成長は、今年の1月~3月までのニュージーランド経済における経済活動が堅調であったことを示しています。これは準備銀行のニュージーランド経済に向ける熱い視線を強固にし、4月の政策金利見直しにつながった可能性があります」

 

「しかし、労働参加率の上昇が示すように、労働人口が増加の一途を辿る中、賃金上昇は未だ低い水準にあります」

経済回復に自信を見せる雇用大臣

スティーブン・ジョイス雇用大臣は、この6カ月間に創生された5万1,000件の新規雇用が強い経済回復を強調していると述べ、以下のようにも発言しました。

 

 

「この1年間の週の平均収入が2.3%上昇しているように実賃金上昇率は高く、インフレ率の0.4%以上です」

 

「低インフレは、賃金上昇が勤勉な労働者とその家族に直接恩恵をもたらすことを意味します。ニュージーランドは確実に成長し続けており、低インフレの中、さらなる雇用創生と賃金上昇がみられるでしょう」

 

 

「世界経済の逆風の中、ニュージーランド企業は健全であり、雇用も増大しています。政府は企業成長戦略(Business Growth Agenda)を引き続き実施し、企業による投資、成長および更なる雇用増大を奨励するでしょう」

 

低成長が続く先進国の中で、ニュージーランドの強い雇用指数と賃金上昇は、インフレ率を高め、さらに経済指標を押し上げることとなるでしょう。

Goo Property JP(TERRY’s WAY株式会社) 代表取締役社長

1992年、奈良県天理大学中退。1993年、個人輸入代理店を起業。ITシステム開発会社のジョイントベンチャー設立などを経て、2003年、グルメデリバリーシステム株式会社(現:Terry’s Way株式会社)を創業。自ら開発した富良野メロンパンの移動販売を手掛け、2004年よりフランチャイズ募集を開始(2007年、100加盟店を達成)。現在は、Terry’s Way株式会社 FOOD事業部として展開中。

2009年、富裕層向け国際会計サービス HENRY INVESTMENT SERVICES pte.ltdを元PWC国際会計士と共同設立(本社:シンガポール)。海外金融サービスや投資スキームのコンサルティングサービス、富裕層開発のマーケッターとして、顧問社数は現在200社を超える。2014年より、海外投資サービスの一環として海外不動産投資のリサーチを開始。2015年、ニュージーランド不動産投資コンサルティングサービスを開始し、GOO Property NZ LimitedをNZ不動産エージェントと共同設立。GOO Property ジャパン (Terry’s Way株式会社)と共に不動産投資コンサルティングサービスを行う。
WEBサイト http://gooproperty.com/

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