年金「月16万円」の両親…「老人ホームの請求額」に子は撃沈

下流老人、老後破産…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。自身の老後のために貯蓄したいところですが、現役世代には「親の介護」も重要な課題となっています。

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年金だけでは「介護施設代」はとうてい払えない

「認知症になっても自分でなんとかするから。気にしなくていいから」と親から言われている人もいるかもしれませんが、そうはいかないのが日本社会。親が倒れたら、子どもに連絡がいきます。独居している親が亡くなった場合、警察などからも連絡が来るでしょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

少子高齢化が進んでいる今、「親の介護」は多くの世代にとって頭を悩ませる問題です。もちろん介護施設に入所させるのもお金がかかります。親の年金で賄えればいいですが、実態はそうもいかないようです。

 

まずは年金。介護施設入居者の平均年齢は、介護付ホームでは85.7歳、住宅型ホームでは83.3歳、サービス付き高齢者向け住宅では82.1歳であることを踏まえ(平成26年 公益社団法人全国有料老人ホーム協会『有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業)、80代高齢者の年金を見てみましょう。

 

厚生労働省『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、80~84歳の高齢者が受け取っている平均年金額は、厚生年金が月16万575円、国民年金が月5万6572円。85~89歳では、厚生年金が月16万3489円、国民年金が5万5175円です。

 

厚生年金の受給状況を男女別に見てみると、男性では月額17~18万円を支給されてる割合が最も高く、女性では月額15~16万円を支給されている割合が最も高くなっています。

 

では、介護施設代はいくらなのでしょうか。

 

“利用者の所得が低ければ補助給付があり、数万から十数万円程度に抑えられますが、一般的な企業で定年まで勤め上げたホワイトカラーの人であれば、特別養護老人ホーム(特養)の個室ユニットに入所し、プライバシーも保ちたいとなると、月額20万円程度の費用がかかる計算になります。両親ふたりとも施設に入所するのであれば、2倍の40万円ほどが必要です。

 

つまり、配偶者や親を施設に預けるのであれば、本人の年金だけで介護費用をまかなうのはかぎりなく難しいのです。”杢野暉尚『人生を破滅に導く「介護破産」』

子どもの「負担額」は壮絶なことに…

80代の年金受給額では、月額20万円もの介護施設代を賄いきれないことがわかります。総務省の発表によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支の平均は、実収入が23万7659円。うち21万6910円が年金を主とした社会保障給付です。

 

親の貯蓄があれば切り崩して生活できますが、両親ともに40万円もの介護施設代が請求された場合、子どもは月に10万円以上の負担を強いられることになります。

 

一方、在宅介護を選択した場合。家計経済研究所『在宅介護のお金と負担 2016年調査』によると、在宅介護で1ヵ月あたりにかかる費用は、全体平均で5.0万円、要介護5認定だと7.5万円になります。なお全体の中央値は3.3万円となりました。高額な介護サービスを使う世帯によって平均の介護費用は大きな影響を受けたようです(介護サービスにかかる金額の平均は1.6万円)。

 

在宅介護では、両親の年金で日々の支出を賄えるといえましょう。ただ、骨折などで歩くのが困難になったら、車いすの手配や家のリフォームも検討されます。加えて在宅介護では「時間」の面も負担になることは明らか。

 

厚生労働省の『2019年国民生活基礎調査の概況』によると、在宅介護にかける時間は「ほとんど終日」が19.3%、「半日程度」が9.4%、2~3時間程度が11.9%です。また、要介護4では45.8%が「ほとんど終日」要介護5では56.7%が「ほとんど終日」と回答しています。

 

介護のために退職を選ぶ方も少なくありませんが、その選択に警鐘を鳴らす声も。

 

“仕事を辞めて自身が介護に専念するか否かは、気持ち、時間、お金という複雑な家庭環境が絡み合います。私は介護離職NGとは思っていませんが、辞めたくないのに離職しなくてはと考えているならば、「辞めないと決めてください」とメッセージを送ります。

 

今は、一昔前のように、親の介護を家族で負担する時代ではありません。これは、10年以上介護を続けてきて本当にそう思えます。簡単です! 辞めないためにどうすれは良いのかを考えるのです。1番目に家族の生活(これ最優先)、2番目が出せるお金、3番目が本人の希望(一番が本人の希望ではない、家族が倒れたら介護は終わり)。親も大事ですが、自分や今の家族も大事です。みんなで幸せになるのが一番なのです。”渋澤和世『親が倒れたら、まず読む本入院・介護・認知症…』(プレジデント社)

 

いずれにせよ、子ども世代には、「老後のための貯蓄」もさることながら「親の介護のための貯蓄」が必要になっているといえましょう。資産形成の重要性がますます高まっています。

 

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