国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者が亡くなったとき、その人によって生計を維持されていた遺族が受けることができる「遺族年金」。遺された人たちにとって命綱ともいえるでしょう。今回は遺族年金の基本的な仕組みとともに、死亡後の遺族年金の扱いや必要な手続きについてチェックしていきます。

遺族年金受給者の死亡後に必要な手続き

親が遺族年金受給者の場合、死亡に伴い所定の手続きをしなければいけません。具体的にどのような書類を用いて行うのでしょうか? また遺族年金の受給権が子どもへ移った場合の年金額も確認します。

 

■支給停止事由消滅届を提出

子どもの遺族年金は、親が受給している間は停止されているという状態です。そこで親の死亡後は「遺族年金受給権者支給停止事由消滅届」を提出し、遺族年金を受給できるよう手続きしましょう。

 

届出書には、受給権者の個人番号・氏名・生年月日・住所・消滅の年月日・消滅の理由などを記載します。その上で年金事務所か年金相談センターへ提出すれば完了です。

 

■子が受け取るときの年金額

受給権が子どもに移ったときに受け取れる年金額は、子どもの人数によって変化します。子ども1人の場合は基本額の78万1,700円、2人は基本額に加算額22万4,900円をプラスした100万6,600円で、1人あたり50万3,300円です。

 

3人目以降は加算額に1人あたり7万5,000円がプラスされ、基本額と合わせた額を人数分に等分します。例えば3人であれば1人あたり約36万500円です。

 

子どもの受給権は18歳になった年の3月末までか、障害年金の等級が1級か2級なら20歳までです。受給権が失われる年齢になると、翌月から年金額は改定されます。

未支給年金の請求方法

死亡したタイミングによっては、未支給年金が発生している可能性があります。請求しなければ受け取れないため、忘れずに手続きしましょう。

 

■請求書を提出する

未支給年金を受け取るには、年金事務所か年金相談センターへ請求書を提出しなければいけません。その際、下記に挙げる書類も添えて手続きしましょう。

 

・死亡した受給権者の年金証書

・戸籍謄本や法定相続情報一覧図など、死亡した受給権者との続柄が分かる書類

・死亡した受給権者の住民票除票と請求者の世帯全員の住民票

・未支給年金を受け取るための通帳

 

ケースによってはほかにも書類が必要な場合もあります。事前に連絡して、必要書類を確認した上で手続きをするとスムーズです。

 

■未支給年金が発生する理由

年金は偶数月の15日に前月までの2カ月分が後払いで支払われる仕組みです。たとえば4月15日には2・3月分の年金が振り込まれます。加えて年金受給者は亡くなった月の分まで年金を受け取れる仕組みです。

 

たとえば5月に受給権者が亡くなった場合、受給権は5月に失われます。4・5月分の年金が振り込まれるのは6月のため、未支給年金の受け取りには適切な手続きが必要です。

早めに年金事務所で相談、手続きを

遺族年金受給者が死亡した際には、早めに年金事務所へ問い合わせて必要な手続きをしましょう。親が死亡することで、停止されていた子どもの受給権が再開されると、年金を受け取れます。

 

受給権者の死亡した時期によっては、未支給の年金や遺族年金生活者支援給付金が発生している可能性もあります。請求しなければ受け取れないので、遺族は速やかに手続きしましょう。

 

 

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