老親の介護施設は実家の近くか、自宅の近くか…施設選びの結論

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

親が施設に入居したら面会にいってほしい理由

持病や心身の状況による受け入れの条件を確認する

 

親が認知症ですが入居できますか?と心配される家族が多いようです。高齢者施設の多くは認知症ケアに力を入れているため、ほぼ受け入れ可能です。認知症よりも他の持病で困難となる場合が多いので注意してください。

 

特別養護老人ホームでは、褥瘡処理、浣腸、摘便、人工肛門(ストーマ)、喀痰吸引、インスリン注射、経管栄養療法(胃ろう・鼻腔カテーテル)、在宅酸素療法が対応可能です(施設により異なるため要確認)。胃瘻、バルーンカテーテルの利用者も多く見られます。自己腹膜灌流、中心静脈栄養(24時間持続点滴 定期的な静注点滴)、悪性腫瘍患者への化学療法、非経口的経口癌性疼痛治療、気管切開下陽圧人工呼吸、鼻・顔マスク間欠陽圧人口呼吸、結核菌排菌者の対応は難しく、この処置が必要になった場合は病院に転院となります。

 

退院時に、この医療行為を必要とすることになったら特別養護老人ホームへ戻ることは難しくなります。特別養護老人ホームだけでなく有料老人ホームを検討する際など、特別な医療行為が必要な場合は、希望する地域にその症状の受け入れが可能な施設があるかも大切な要素です。

 

 

エピソード

 

施設はピンきりなので事前に訪問をして、ここなら任せられる、というところを見つけてほしいと思います。

 

あなたは数週間でも病院に入院したことはありますか? 生死をさまようわけではなく比較的軽度で歩行もできるような状況を思い浮かべてください。談話室に行っても時間つぶしにもならない、面会もいつもくるわけではない。決まった時間に決まった食事、好きなものをいつでも食べられる状況にはない。

 

外出も許可が必要で勝手にはできません。入浴も日が決まっています。不運にもいびきや夜間騒ぐなどうるさい人が同室だと夜も苦痛です。もちろん、医師や看護師は優しく、色々とお世話もしてくれますが、それでも「早く家に帰りたい。自由になりたい」と感じることでしょう。

 

特に、意識のはっきりしている高齢者はきっと最初はそんな気持ちなのです。親が施設に入居したのなら面会に行きましょう。毎日でなくても外出に連れ出してあげましょう。親はとても喜ぶはずです。

 

そもそも外出ができないのなら、言い方は悪いですが、施設はどこでもあまり変わりません。それなら子どもが頻繁に会いにきてくれた方が良いのです。施設から呼び出されることも多くあります。家族会や行事には、なるべく参加してほしいと思います。高齢者は転倒やケガ、病気も多くなるもの、そんなときも子どもが近くに住んでいると安心です。

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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