多くの日本人が何気なく飲んでいる「コーヒー」と「発展途上国の貧困」が密接につながっていることはあまり知られていません。そこで、池本幸生氏、José. 川島良彰氏、山下加夏氏の連著『コーヒーで読み解くSDGs』(ポプラ社)より、身近な飲み物であるコーヒーを切り口として、コーヒーと貧困について解説します。

内戦からの復興をコーヒー生産を通じてやり遂げる

農園の復興に向け、フォアニータがまず取り組んだのは、蔓延する飢餓をなくすことでした。ところが家の外に出ることを極度に恐れる人々の警戒心を解くことは簡単ではありませんでした。

 

地域に取り残された人々は、命を守るための唯一の手段として、家のドアや窓を釘で打ち付けたり、セメントで封じたりして、完全に閉じこもっていたのです。そこでフォアニータは各家の前に様々な食べ物を入れたバスケットを置いて立ち去り、住民に栄養を与え、彼らの身体と精神的なダメージを回復させることから始めました。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
農園を見回るフォアニータ

 

一軒ずつ家を回り、徐々に警戒心を解いてもらうための地道な努力を続けたのです。そのような復興の第一歩の過程においても、農園のマネージャーはしばしば戻ってくるゲリラから何度も銃をつきつけられ、脅されたと言います。

 

恐喝の電話がかかってくることもありました。その度に、自分たちはこの地でただコーヒー栽培をしたいだけなのだと繰り返し、フォアニータは農園を守り続けたのです。新政権の大統領は革命軍から土地を取り戻すことに注力し、また近隣にコロンビア軍の基地があったことも幸いして、農園は軍の後ろ盾で再建に着手することができました。

 

長い飢餓の苦しみを経験した人々に、二度と空腹な思いをさせまいと強く心に誓ったフォアニータは、広大な農園の一部に果樹や作物を植える区画を新たに設置し、農園で働く人々が自由に収穫できるようにしました。

 

さらに、労働者の子どもたちが通うための小学校を作ったり、農園の人々の住居を改築するなど、労働者の生活を改善するための様々な取り組みにも着手したのです。自然保護にも力を入れ、農園は2009年にレインフォレスト・アライアンスの認証を獲得するまでに成長を遂げました。

 

その復興の道のりは決して平坦なものではありませんでしたが、フォアニータは農園の人々の生活を改善するための努力を常に惜しみませんでした。彼女は地域を飢餓から救い、内戦からの復興をコーヒー生産を通じてやり遂げたのです。

 

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