適正額はいくら?ベンチャーキャピタルの「ファンドサイズ」

ベンチャーキャピタルファンドのサイズは、どれくらいが適正なのでしょうか? 多きすぎると資金を消化しきれず、かといって小さすぎても思うような支援ができません。国内初の医療機器専門VCとして1号ファンド、2号ファンドを設立し、実際に成功事例を生み出している筆者が解説します。

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大型ファンドは数百億円以上、小型は数十億円が一般的

ベンチャーキャピタルファンドのファンドサイズは様々で、大きいものなら数百億円以上、小さいものなら数十億円というのが一般的だ。そのサイズによって、投資対象ステージが自ずと決まってくる。

 

基本的には分散投資なので、小さいファンドでも10件程度は投資を行い、リスクを分散する。10件の投資となると、1件あたり1億円で10億円。1件あたり5億円だと50億円の資金が必要となる。50億円の投資資金では、2割強がファンドの管理報酬等の運営費に充てられるので、60億円超のファンドでようやく実現可能な金額になる。

 

これが100億円のファンドなら、2割強の運営費を引くと、80億円弱の純粋な投資資金を保有するため、1件あたり5億円(累計)の投資では15、16社程度が、1件あたり3億円の投資では25社程度が可能となる。1案件あたりの投資額はそのファンドによって違うので、投資を受ける際は、そのファンドがどのくらいの投資額をターゲットとしているのかを確認すべきである。

 

例えば、500億円のファンドで、5億円ずつ投資すると、80~90件の案件が必要になる。ファンド金額が増えたからといって、その分、ファンドのメンバーが比例して増えるわけではないので、投資できる案件数を倍にするのは容易ではない。そのため、ファンドサイズが大きくなれば、1件あたりの投資額を増やすことになる。1件あたり、最低10億円もしくは20億円といった投資が必要となるので、アーリーステージよりも、レートステージでまとまった金額を投資するほうがやりやすい。

 

ユニコーン企業になるようなベンチャー企業への投資をメインとするなら大型ファンドが必要だが、アーリーステージで医療機器が対象となると、そこまで大きなディールは少ないので、ファンドサイズが大き過ぎると資金を消化しきれない。かといって、サイズが小さ過ぎても、思ったような支援ができない。では適正なサイズとはどのくらいだろうか。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

「得意な投資ステージ」でファンドサイズを決める方法

ファンドのサイズは、まず、そのベンチャーキャピタルが得意とする投資ステージによって決めるべきだと思う。領域にこだわらず、とにかくレートステージの確実性の高い案件にまとまった投資をするほうが得意なら大型ファンドが向いている。またはアーリーステージに特化して、業界にはこだわらず、起業家自身の資質や熱意から投資をするファンドもある。

 

この場合、アーリーステージなので、1件あたりの金額は多くはなく、多数のベンチャー企業に投資をする。成功率は下がるが、アーリーステージから投資しているので、成功した際の1件あたりのリターンは大きくなる。このようなアーリーステージファンドは、投資件数を増やせそうなら大型でも消化できる。

 

弊社のように医療機器に特化し、ベンチャー企業のアーリーステージから成長に合わせて複数回投資していくなら、そこまでまとまった金額が一気に必要になることはない。ベンチャー企業が成長し、レートステージに近づいていけばいくほど、投資を検討してくれるベンチャーキャピタルの数は増えるので、それなりのステージまで成長させることができれば、あとは、他のベンチャーキャピタルにも参加してもらい、投資先をエグジットまで導くことができる。

 

または案件の育成に絶対の自信と、高いリターンの確信がもてるなら、アーリーステージからエグジットまで全て自分たちで投資するというのも一つの考え方である。米国の医療機器専門のファンドにも、同様の考え方の大型ファンドは存在する。ただ、自分たちだけで投資をしていると、独りよがりの考え方や物の見方になっていることに気づけないので、客観的な第三者の眼(別の投資家)をもつことはベンチャー企業にとっても、それなりに意味があると思う。

ファンドサイズを大きくしすぎると運営が困難

弊社では、1件あたり5億円程度を目安としているが、医療機器ベンチャー企業の場合は、5億円あれば、ある程度の製品開発はできる。一旦、製品が完成するところまで進めば、その後の臨床試験や販売などにかかる費用は集めやすい。全てを1社で投資するとなると10~20億円ほどは必要になる場合が多いが、それを1社のベンチャーキャピタルだけでやることが、投資先のベンチャー企業にとって良いことなのかどうかは、微妙なところである。

 

我々は、より経験値が増して、さらなる確信がもてたときには大型ファンドも検討の余地はあるが、現状では、2号ファンドの100億円あたりが、ちょうど良いサイズだと思っている。

 

ファンドサイズが大きくなれば、ベンチャーキャピタルにとっては管理報酬が増えて、一時的な収入は増加する。これはファンド運営上、非常に助かるし、自分たちの取り分が確実に増えるので、ファンドサイズをできるだけ大きくしたいという運営者の気持ちもよく理解できる。

 

しかしながら、ファンドサイズありきで大きくしていくと、本来得意とするステージの投資がやりにくくなる。その結果、レートステージの大型投資にシフトするなど、これまでの投資戦略を変更しなくてはならない場合もある。やはり、まずは自分たちが得意とするステージや領域は変えずに、無理をせず、資金を消化できるようなファンドサイズにするべきだと思う。

 

医療機器の場合は、1社あたりの必要資金はそれほど大きく変わらないので、日本にエコシステムが確立し、ベンチャー企業の数が確実に増加するようになれば、そのときは弊社も、より大きなファンドの設立を考えるべきときなのかもしれない。

 

 

大下 創

MedVenture Partners株式会社 代表取締役社長


池野 文昭

MedVenture Partners株式会社 取締役チーフメディカルオフィサー

医師

 

 

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MedVenture Partners株式会社 代表取締役社長

1969年生まれ。1997年から20数年の医療機器業界(事業会社・ベンチャーキャピタル)での経験を有する。

投資先の成功をきっかけに、2005年、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)で現地採用され、米国医療機器ベンチャー企業への投資を約5年間担当。
海外投資での成功率はこれまで通算8割を上回り、複数の投資先が時価総額1000億円超を達成している。

投資先が開発した製品は、世界中で多くの患者を救っており、代表的なものに治療法のない巨大脳動脈瘤の治療を可能にしたPipeline Stent等がある。

2013年、池野とともに、国内初の医療機器専門のVCであるMedVenture Partners株式会社を創業。1号ファンド(60億円)に続き、2019年に2号ファンド(99億円)を設立し、国内でも成功事例を生みだし、多くの投資先で社外取締役を務めている。

著者紹介

MedVenture Partners株式会社 取締役チーフメディカルオフィサー 医師

浜松市出身。1967年生まれ。自治医科大学卒業後、9年間、僻地医療を含む地域医療に携わり、日本の医療現場の課題、超高齢化地域での医療を体感する。2001年渡米。スタンフォード大学循環器科で研究を開始し、以後、多くの米国医療機器ベンチャー企業の製品開発に創業当時から携わる。

また、医療機器大手も含む、同分野での豊富なアドバイザー経験を有し、日米の医療事情に精通。研究と平行し、2014年からスタンフォード大学バイオデザイン講座で、医療機器分野・起業家養成プログラムの講師として教鞭をとっており、ジャパンバイオデザインの設立にも深く関与。日本にもシリコンバレー型の医療機器エコシステムを確立すべく、精力的に活動している。

著者紹介

連載医療機器開発とベンチャーキャピタル~起業成功の必須予備知識

※本連載は、大下創氏、池野文昭氏による共著『医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編

医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編

大下 創
池野 文昭

幻冬舎メディアコンサルティング

起業を目指す「医師」「研究者」「医療機器開発者」必読! 医療機器ベンチャーの“成功確率を上げる”ために必要な知識とノウハウとは? 筆者は医療機器開発に特化したベンチャーキャピタリストとして、20年以上、数多くの…

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