人間は「自分に価値がある」と思わせてくれた相手に好意を抱きます。この効果を利用すれば、上司や部下に気持ちよく動いてもらうことも可能です。メンタリストDaiGo氏が、自身の影響力を高め、人間関係で優位に立つ方法を解説します。※本記事は、『超影響力~歴史を変えたインフルエンサーに学ぶ人の動かし方』(祥伝社)より抜粋・再編集したものです。

人は「自己重要感」を与えてくれた相手に好意を抱く

●過去と現在を比較させあなたには価値があると気づかせる

 

筆者は動画を通じてストレングスを行なっていますが、もちろん、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションではより高い効果が期待できます。

 

大切なのは、聞き手の自己重要感を満たすよう働きかけること。人は誰かに認められ、求められているとき、自分は重要な存在だと信じることができます。すると、失われていた自信が回復し、モチベーションが高まり、行動力も増していくのです。

 

たとえば、今、あなたの身近に仕事や勉強でつまずき、自信を失っている人がいるとしましょう。あなたなら、どんな声掛けをしますか?

 

多くの場合、「がんばろう」「この失敗も次につながるよ」など、ポジティブな言葉で相手を励ますのではないでしょうか。しかし、影響力のある人は相手が自己重要感を取り戻すよう、もうひと工夫加えます。

 

聞き手が「過去の自分」と「今の自分」を比較するきっかけとなるような言葉を贈るのです。

 

「ここまで努力してきたプロセスに目を向けてみよう。以前よりできることが増えていない? それは成長の証(あかし)だし、このつまずきだってきっと次につながるよ」

「あなたのがんばりは僕も仲間もずっと見てきたし、知っているよ。一度結果が出なかったくらいで信頼は揺らがないし、挽回(ばんかい)のチャンスはすぐにやってくるよ」

 

そんなふうに投げかけることで、聞き手が自分では気づけないままでいる成長と変化を指摘します。本人に自分を客観視するきっかけを提供するのです。

 

ポイントは誰かとの比較ではなく、本人の過去と現在に目を向けること。人は誰しも、自分のことを重要だと思いたいものです。その願いが満たされず、心が揺れ動いているときこそ、話し手は「あなたの存在そのものに価値がある」と伝えましょう。

 

相手が自分の成長や変化、持っている能力、価値を再発見できたとき、やる気は一気に高まります。まさに話し手の言葉によって、ストレングスされるのです。

 

そして、聞き手は自己重要感を与えてくれた話し手へ好意を抱くようになります。

扇動家は大衆の心に届く言葉を繰り、好意を引き出す

●ストレングスで自信を取り戻した人は、話し手に好意を抱く

 

好意は、人やグループに影響力を発揮するうえで欠かせない感情です。

 

話し手であるあなたに対して聞き手が好意を抱くと、それが信頼関係を結ぶ土台となっていきます。

 

たとえば、歴史に名を残す大衆扇動家たちは聞き手である大衆の心に届く言葉を繰り出し、好意を引き出しています。

 

アドルフ・ヒトラーは第1次世界大戦後の大不況で苦しい状況にいる国民に向け、「あなた方には戦う力があるはずだ」「どんな苦境に立たされてもドイツ国民としての誇りは失われていないはずだ」と働きかけ、支持を拡大。巧みな演説で国民の好意を引き出し、「我々が一致団結して戦うことができれば、必ず勝利が見える」と戦争に向けて国民を煽っていきました。

 

もちろん、ヒトラーのしたことは許されるものではありませんが、彼が一流の大衆扇動家であったことは事実です。

 

強い影響力を発揮する人は、周囲の人に対して「過去」と「現在」を比較しながら「あなたなら、できる」「あなたには、力がある」というメッセージを発し続けます。

 

「内向的な性格だからこそ、丁寧な仕事ができる」

「慎重な人にしか、気づけないことがある」

「どんな人も、必ず人生を変える力を持っている」

 

上滑りしていくお世辞や社交辞令ではなく、あなたの感情を込めた言葉で伝えましょう。

 

心からの期待を込め、相手の力を引き出すメッセージを伝えることで、人はポジティブな方向に動き出します。逆に、口からでまかせの励ましは利己(りこ)的で、すぐに噓だと見破られます。そこに真実がないからです。

 

もし、あなたがパートナーや子ども、職場の上司や後輩など、周囲の人を説得し、動かしたいと願っているのならストレングスを心がけてください。

 

相手の自己重要感を回復させ、自信を持たせること。これがうまくいけば、必ず相手は行動力を取り戻します。そして、自分に力を与えてくれたメッセージとその言葉を贈ってくれた人のことをずっと忘れずにいてくれるはずです。

 

 

 

メンタリストDaiGo

 

 

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