(※写真はイメージです/PIXTA)

株式市場に関するニュースでは、「グロース株が優位の展開となっています」「グロース株が売られ、バリュー株が買われました」などの表現をすることがあります。本記事では、グロース株とバリュー株、それぞれに投資するメリットとデメリットを、株式会社WealthLead(ウェルスリード)代表取締役シニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が解説します。

「バリュー株」は、株価が「割安」な企業のこと

「バリュー株(割安株)」とは、その企業の利益や純資産等の価値に比べて株価が安い状態の株式のことです。

 

このバリュー株に目を付けたのが、著名投資家ウォーレン・バフェット氏です。バフェット氏は、55年間で資産を2.7万倍に増やしたことで有名で、2020年8月に、日本の大手商社株を購入したことでも話題になりました。そのバフェット氏が投資する銘柄を選ぶ際は、「本来の企業価値と比べて株価が相当割安であること」を鉄則としています。

 

なお、日本のバリュー株では、「銀行株」や「商社株」などが該当します。一方、米国では、先ほどのバフェット氏が率いる「バークシャー・ハサウェイ」、「ジョンソン・エンド・ジョンソン」や「JPモルガン・チェース」などが該当します。

 

■バリュー株投資のメリット

バリュー株投資のメリットは、「配当が期待できる」ことです。バリュー株は一般的に成熟企業が多く、大幅な株価の上昇が期待できない代わりに、安定した配当が期待できます。

 

また、長期運用の投資家が多いこともあり、グロース株に比べて値動きが小さく、相場環境が悪化しても下げ幅が小さい特徴があります。そのため、株価に一喜一憂せず、ゆったり構えることができます。

 

■バリュー株投資のデメリット

一方、バリュー株投資のデメリットは、「銘柄選びが簡単ではない」ことです。バリュー株投資は、企業価値に比べて株価が過小評価されているときがチャンスです。しかし、その企業の本源的な価値がどの程度なのかを把握するのは容易ではなく、相応の知識と経験、手間と時間を要します。

 

さらに、バリュー株のなかには、足元の業績が悪くて将来も業績の向上が期待できない企業も多く含まれています。そのような銘柄を買ってしまうと、割安のまま何年も放置されて株価が上がらない状態(=バリュートラップ)にはまる可能性もあるので、注意が必要です。

グロース株とバリュー株、優位になるのはどちらか?

グロース株とバリュー株は、どちらが優位な相場展開になるかは時期によって変化することがあります。2001年からのパフォーマンスを調べると、【図表3】のようになります。

 

[図表3]グロース株とバリュー株の2001年以降の年間リターン比較

 

過去20年間ではグロース株が8勝で、バリュー株が12勝となっています。ただし、2017年からは4年連続でグロース株が優位な状況となっています。

 

その背景にあるのが、世界各国の中央銀行が実施している「量的緩和政策」で、金利が下がることによって株式市場にお金が流れ込み、グロース株が割高であることには目をつぶって「成長性」に着目して投資する主体が増加したことが考えられます。

 

それでは、グロース株とバリュー株の今後の動向はどうなるでしょうか?

 

筆者は、グロース株優位の展開が当分続き、どこかでバリュー株優位の展開に転換すると予想しています。そして、その転換時期をはかるには、「米国の長期金利」と「米国株式市場」をよくチェックしておくことが大切だと考えています。

 

FRB(米国の中央銀行制度)は、2020年12月に、雇用の最大化と物価安定の目標を達成するまで量的緩和策を続ける方針を決めましたが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、経済活動が一気に正常化して景気が回復すれば、金利は上昇することが予想されます。

 

そのような局面では、これまで買わ過ぎたグロース株は売られ、売られ過ぎていたレジャー関連や旅行関連で割安になっていた銘柄が買われる可能性があります。金利動向をよく観察して、タイミングを逃さないようにしましょう。

 

【この記事を動画で見る】

株式投資に必須の知識!グロース株とバリュー株について、その特徴とメリットデメリットを解説!

 

濵島成士郎

株式会社WealthLead

 

 

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