近未来の消費者洞察データを基軸にイノベーション支援を展開する、株式会社SEEDATA代表取締役社長の宮井弘之氏は、周知の事実や世の中の常識に囚われずに成功するための思考法を説いています。

「裏側」で動いているものを意識する

もっと、突飛なシナリオも考えられます。仮に東京のオフィス賃料が安くなれば、結局、そこをオフィス以外の用途で使いたいという企業は次から次へと出てきます。例えば、一昔前に銀座の街で養蜂して蜂蜜を作るプロジェクトが話題になりました。

 

繊細なミツバチは田畑の農薬散布で死んでしまうのですが、都心部なら農薬が撒かれることがないのでむしろ養蜂に向いているというのです。それと同じような理屈で、ビルの中で野菜を育てている企業があります。光も水も栄養も人工的にコントロールできますから、野菜の品質や味を調えることができて、自然のなかで育てた野菜では得られない甘味や栄養を作り上げることができるのだそうです。

 

水耕栽培なら虫や病気にやられることもありませんから、光熱費は高くなりますが手間は減ります。また、地産地消ではありませんが、都心で作って都心で消費すれば輸送費を抑えることも可能です。

 

郊外に住宅が増えて、都心に農地(ビル)が増えるかもしれません。コワーキングスペースの会社も、ビルで野菜を水耕栽培する会社も、私がニュースで見聞きしたものですが、それによって誰にどのようなメリットがあるのか、ニュースの背景にいる人や組織を探っていくことで、不動産業界にまつわるシナリオに活かすことができました。

 

私は日常ニュースを見ながらつらつらとこのようなシナリオを妄想しています。すると、今度は、そのシナリオが実際に進行しているのかどうかの徴候を探る視点が働きます。問題意識をもっておけば、日々、雑談や新聞などから仕入れるニュースに対してアンテナが反応するようになるからです。

 

その結果、やはり植物を都心で育てるのはまだ採算が合わないとか、コワーキングスペースは一部の人だけで盛り上がっているだけで実際、大勢の人は自宅でリモートワークだとか、どこかで判断を下すことができるようになります。ただ漫然とニュースを見ているだけでは、何の問題意識ももつことができず「感染者数が記録更新だって、すごいね」で終わってしまいます。

 

そうなると、次に自分がどのように動くべきかのプランも立てることができず、ただ日々、流されて生きていくだけになります。ニュースは社会の反映ですし、社会は分析して自分の行動を決めていくための素材です。

 

ニュースを見聞きするときには常に、それによって何がどう変わっていくのか、表面的な事象だけでなく、「裏側」で動いているものを意識するようにしましょう。

 

 

宮井 弘之

株式会社SEEDATA 代表取締役社長

 

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