巷には株式投資にまつわる指南書が数多く存在していますが、株価は教科書通りには動かないもの。一見「買いのチャンス」に思えても、実は買ってはいけないタイミングだった…ということも珍しくありません。株式投資で勝つには、どうすれば良いのでしょうか。身銭を切って45年間市場と対峙してきた筆者が、成功率を上げるために押さえておきたいポイントを解説します。※本連載は石井勝利著『株の鬼100則』(明日香出版社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

チャートは必ず「日足」「週足」の両方を確認

横ばいか右肩上がりの移動平均線に対して、下に位置した株価が勢い良く上に突き抜けた時の「ゴールデンクロス」は、株価に勢いがあることを示している。

 

しかし例えば、トヨタ(7203)の日足でゴールデンクロスを目にして(図表1)、「買いシグナルだ」とばかりに買っても、その後の株価に勢いがなく、ここで購入した人には利益確定のチャンスはほとんどない。

 

チャート提供:「みんなの株式」(https://minkabu.jp)
[図表1]7203 トヨタ チャート提供:「みんなの株式」(https://minkabu.jp)

 

なぜこうなるのか。それは週足を見ると、明確になる。週足の中期的なトレンドが右肩下がりなのだ。日足で見ると、強く見える足も、実は弱々しい右肩下がりであり、買いのチャンスではなく、購入してはいけないことが読み取れる。

 

このように、日足と週足双方を見ないと、トレンドは明確にならない。 ゴールデンクロスならば、長期、短期双方がクロスしている銘柄を選ぶのだ。

高値更新銘柄の「衝動買い」は危険

株情報サイトではよく、「連日高値更新」などのニュースが飛び交う。これを見て、買っておけばよかったと口惜しく思うのが人の性だ。

 

しかし、株価に無限はない。高値にはファンドなどの利益確定の売りが待っているからである。

 

例えば、ソフトバンクグループ(9984)の株価を見てみよう(図表3)。

 

チャート提供:「みんなの株式」(https://minkabu.jp)
[図表3]9984 ソフトバンクグループ 週足 チャート提供:「みんなの株式」(https://minkabu.jp)

 

週足を見ると明確だが、急激な上げの後に「上ヒゲ」が出て、その後は持ち合いになっている。利益確定の売りをこなさないと、売買のバランスが重いので、上には行けない。

 

NY相場次第では、まだまだ上値はあるかもしれないが、高値で陰線や上ヒゲが出ているところを見ると「そろそろか」と判断をしなければならない。

 

株価の動きには、リズムがある。強烈に上げた後は、しばらく、売りをこなすための時間が必要になる。「まだ上がる」と勢いで買うのは、正気の沙汰ではない。

 

高値の利益確定のことを考えると、上値は知れているし、下げで「含み損」を持ってしまうほうが、可能性は高い。

 

高値更新銘柄は株価の位置がどこにあるのか。なぜ高値更新したのか。まずはその確認をすることだ。さしたる材料もなく上げているのであれば「もう、良い加減かな」と判断ができる。

 

たとえ、さらなる高値があったとしても、もっと安全で、上値の可能性のある銘柄がいくらでもある。高値更新銘柄に乗っからないことだ。

テクニカルは外れる可能性もある…「過信」は禁物

株式市場は、突然「これはおかしい」という動きをする。経験則やチャート、テクニカルから見たら、あり得ない動きになることがある。

 

しかし、テクニカルはあくまでも過去の経験則から先を予測するもので、言わば「天気予報」みたいなものだ。

 

当たるかもしれないが、外れることもある。そう割り切らないと、とんだ失敗をする。

 

私が得意とした銘柄に日本ライフライン(7575)がある。この銘柄は、心臓の手術に使われるカテーテルなどを納めている医療関係の商社で製造も手掛けていて、業績は極めて好調だった。

 

私自身、長年苦しんだ「心房細動」を大学病院のカテーテルアブレーションの治療で完璧までに直したので、ことのほか、知識もあった。

 

その関係の銘柄なので、買っては売り、の階段上りで、たくさんの利益を積み上げた。業績も良く、担当医に聞いた「良い会社だ」とのコメントでますます自信を持っていた。

 

ところが、ある日から、高値では突然売られる株価の動きになってきた。

 

「これはおかしい」

 

業績も良く、先行き有望な銘柄が売られる。そうだ。売られるということは、大口の考え方が変わったに違いない。

 

右肩上がりトレンドの異変である。それを受け入れて、それ以上の株価上昇に期待しないことが賢明と考えた。

 

先行き復活するにしても、当面の株価は頭を付けたので、押し目からの復活のチャンスを見るしかない。

 

テクニカルを覆すのは、需給のバランスの崩れからである。予測不能とは言っても、株価にあらかじめ決められた予定はない。すべては需給。「相場は相場に聞く」ことにしている。

 

 

石井 勝利

経済評論家

 

 

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