多くの日本人が何気なく飲んでいる「コーヒー」と「発展途上国の貧困」が密接につながっていることはあまり知られていません。そこで、池本幸生氏、José. 川島良彰氏、山下加夏氏の連著『コーヒーで読み解くSDGs』(ポプラ社)より、身近な飲み物であるコーヒーを切り口として、コーヒーと貧困について解説します。

「コーヒー危機」による負のサイクルが恐ろしい

「コーヒー危機」以降は、低迷するコーヒーの価格に危機感を抱く生産農家が、栽培する作物を多様化したり、他の仕事と兼業することも多く見られるようになりましたが、長い間コーヒー生産だけに頼ってきた開発途上国の資源の乏しい農村部で、コーヒー生産以外の産業を新たに興し、成功させることは至難の業です。

 

そのような地域では、引き続きコーヒー生産が主要な生計手段となっているため、政治情勢や天候の悪化など、様々な問題が複雑に絡み合い、飢餓が発生するケースは枚挙にいとまがありません。

 

しかしそれと同時に、様々な理由で引き起こされる飢餓を、コーヒー生産を通じて克服する例も生まれています。

 

・コーヒー生産を通じて飢餓を防ぐ

 

グアテマラやコロンビアなど、中南米のコーヒー生産地には山岳地帯の急斜面が多く、コーヒーの果実は一粒一粒丁寧に手摘みで収穫されます。

 

これらの国々では、山岳地帯に古来から居住する多くの先住民族の人々が、コーヒーの栽培や収穫、選別に従事しています。先住民族の人々は代々部族に伝わってきた独特の文化を有し、話す言葉も異なります。元々彼らは自給自足の生活を送っていましたが、貨幣経済が導入された現代において、従来の暮らし方を続けることが難しくなっています。

 

各国が遂げた経済成長からも取り残され、「貧困による飢餓や栄養不足」という問題に直面することになったのです。成長期に十分な栄養を取ることができず、発育不良で身長が十分に伸びないまま大人になった先住民族の人たちは、そのような栄養不足の生活が当たり前になってしまい、子どもを授かっても、親として子どもたちに栄養のある食事を与えることの重要性に気づくことができません。

 

これはまさに負のループであり、一時的に食料を支援するだけでは問題の解決にはなりません。彼らが栄養バランスの取れた食事を規則正しく取ることの大切さを理解し、その習慣を身に付けることを後押しすることが大切なのです。

 

社会的配慮に優れた農園を訪問すると、多くの農園主が先住民族の人たちにとって学校教育が果たす役割の重要性を指摘します。

 

読み書きや計算ができることが、将来の雇用機会を広げるために重要なのはもちろんですが、学校給食が果たす役割も決して小さくありません。労働者である親が農園で仕事をしている間に、子どもたちが学校に通えること、なおかつそこで栄養豊かな給食を食べる機会に恵まれることは、成長期にある子どもたちにとっては大変重要なことなのです。

 

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