(※写真はイメージです/PIXTA)

定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人もいます。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、定年後に安易に地方移住し、蕎麦屋を開業して失敗したケースを基に注意点を見ていきます。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「資格の取得」だけでは、お金は稼げない

Gさんが蕎麦屋で失敗したのは、単純に自分の趣味に走ったからです。蕎麦打ちが好きであることと、商売を軌道に乗せることは別の問題です。

 

商売である以上、お店の立地をまず考える必要がありますし、その周囲にはどういう人が住んでいるのか、観光客は見込めるのかといったマーケティングもする必要があります。もちろん味は大事ですが、どれだけ美味しいお蕎麦が打てたとしても、立地などの条件がクリアされていなければ、商売は成り立ちません。

 

定年になると、なぜか資格を取得して開業しようとする人がいるのですが、これも蕎麦屋と同じです。これは多くの資格取得者に共通するのですが、おめでたいことに多くの人が、資格さえ取れれば商売になると思っているのです。

 

そんなわけないじゃないですか。資格はあくまでも、その仕事をするのに最低限の知識を持っていることを証明するためのものでしかありません。税理士でも弁護士でもそうですが、その資格を使って商売を大きくできるかどうかは、資格を取得するための能力以外のノウハウ、知識などが必要になります。

 

たとえば、税理士の資格を取得したとします。どこかに事務所を借りて、椅子と机を入れた後、ずっとその部屋にいれば、勝手に相談したい人が来てくれて相談料などがいただけるなんてことは、絶対にありません。そもそも、その人が税理士であることを、世間の人は誰も知らないのです。

 

そうだとしたら、何はともあれ営業をしなければなりません。「〇〇税理士事務所」という看板を出すのは当たり前。とにかく自分の存在を世の中に知ってもらわなければなりませんから、そのために八方手を尽くします。

 

まずは紹介で広めます。自分の友人・知人、親戚などあらゆるツテをたどって、税金の相談に乗ってもらいたいという人を紹介してもらいます。そのうえで、自分の日々の活動をブログなどにアップしていきます。いまやSNSというプロモーションのための武器がありますから、使わない手はありません。

 

税理士の資格を取得する勉強も、非常に大変な努力が必要ですが、そこで終わりではないのです。大事なのは資格を取得してからの努力です。

 

山中 伸枝

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役

 

※本記事の事例に登場する名前はすべて仮名で、個人が特定されないよう内容に一部変更を加えております。

 

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「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

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