コロナ禍下で急速に進んだ「ロビンフッド現象」とは?
2020年1〜6月に、個人投資家が米国株市場の取引に占める割合が19.5%と、前年の14.9%から増加し、2010年水準の2倍近くに達しました。米国では素人の個人投資家の短期株式売買が急増しており、「ロビンフッド現象」と呼ばれています。
手数料無料の株式売買アプリが特徴のフィンテック企業「ロビンフッド」は2015年にカルフォルニア州で創業されました。非公開で、いわゆる「ユニコーン企業」(評価額10億ドル以上の未上場企業。2020年8月時点で評価額は110億ドルに達したようです)であるため、経営の詳細が明らかではありません。
ロビンフッドの口座数は2016年に100万口座しかありませんでしたが、2019年末に1000万口座に達し、コロナ禍の5月末に1300万口座に達したと報じられています。
顧客はミレニアム世代が多く、平均年齢は31歳です。新規顧客の約半分は過去にトレードしたことがない人でした。外出自粛によって在宅で時間のある人が、政府給付金を元手に、株式取引を始めたケースが多かったといわれます。
筆者はロビンフッドのアプリを使ったことがありませんが、ゲーム感覚で楽しく使えるアプリのようで、そのためか、ロビンフッドの顧客は企業のファンダメンタルズを軽視し、ボラティリティ、投機、デイトレなどを好むといわれます。
ロビンフッダーはアップルやテスラなど大手テクノロジー株も取引しますが、一度倒産したイーストマン・コダックや新興EV企業のニコラなど、投機的株式とロビンフッダーの売買の相関が高くなっています。
9月にロビンフッドは顧客の注文を高速取引業者に流していたことを開示していなかったことで、SEC(証券取引委員会)の調査を受けたほか、2020年10月には約2000口座がハッキングの被害を受けたとも報じられました。
米国では新興のロビンフッドに加えて、スクエアのようなフィンテック企業もオンライン株式取引に参入し、競争が激化した結果、オンライン証券の再編が進んでいます。
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