米国株は過去に10~20年で株価が10倍になっている
ニューヨークダウが1983年の1000ドル台から、1999年に1万ドルと再び10倍に上昇したのは、ボルカーFRB議長によるインフレ抑制、レーガノミクスやクリントン大統領の政策による経済成長、コーポレートガバナンスの改善などが背景としてありました。
レーガノミクスで強い米国の資本主義が復活しました。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフストラテジスト兼チーフエコノミストは、米国株価の長期波動の決定要因として、資本と労働の相対的力関係と米国の覇権の安定性が二大要素だと指摘しています。
2000年のITバブル崩壊以降、2008年のリーマンショックもあり、ニューヨークダウは2012年まで1万ドル前後の動きが続きました。
ニューヨークダウは2009年3月を大底に2020年3月にコロナ危機で急落するまで、約4倍に上昇しましたが、「10〜20年で10倍の株価上昇」という経験則に基づくと、ニューヨークダウは10万ドルを目指す途中にあるのかもしれません。
世界的な超低金利による金余り、AIやIoTなどを背景とする第4次産業革命が株価上昇の背景です。
ニューヨークダウは2020年2月に2万9550ドルまで上昇した後、3月に一時2万ドル割れになりましたが、その後一本調子に回復し、11月24日に初めて3万ドルを超えました。いずれにせよ、ニューヨークダウには経済や産業構造の長期変化を背景にした長期サイクルがあるので、その趨勢を見極める必要があります。
菊地 正俊
みずほ証券エクイティ調査部 チーフ株式ストラテジスト
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