米国の代表的な株価指数であるNYダウは、コロナ禍にもかかわらず2021年5月10日に35,000ドルを一時突破しました。今回は、過去の値動きの推移による経験則から、現在の株価の位置について考察します。※本連載は、菊地正俊氏の著書『No.1ストラテジストが教える 米国株投資の儲け方と発想法』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

米国株は「10~20年の長期サイクル」で上昇

米国株は長期的に見ると、経済のパラダイムシフトを背景に、10~20年の長期的なサイクルがあります(【図表2】)。

 

【図表2】ニューヨークダウの長期推移

 

戦前は1929年の大恐慌前の急騰と急落がありましたが、長い目でみれば、ニューヨークダウは100ドル前後の推移でした。国際情勢の緊張、インフレ、経済政策の不整備などが長期的な株価停滞の背景でした。

 

ニューヨークダウが大恐慌前の高値を抜くには1954年までかかりましたが、戦後復興や海外経済の成長などを背景に、ニューヨークダウは大きな上昇局面に入りました。1942年に100ドル台だったニューヨークダウは、1966年に約10倍の1000ドルまで上昇しました。

 

しかし、1966〜1982年にニューヨークダウは10年以上にわたって、1000ドル前後で推移しました。株価が停滞した最大の要因は、インフレ高進によりPERが押し下げられたことでした。

 

労使関係も協調から対立へ変化しました。S&P500ベースで1957〜1981年にEPSは約3倍に増えましたが、PERは18倍から8倍弱へ低下しました。米国では外的なサプライショックを除けば、株価が下落するのはインフレ→金融引締め→景気後退という局面が多くなっています。

 

米国は1965年ベトナムに介入したうえ、社会福祉を充実させるという「大砲もバターも」の政策を推進したため、財政赤字が拡大しました。1973年の石油危機はエネルギー集約的な米国の生産方式の優位性を大きく揺るがし、スタグフレーションが起きました。

 

1962年の鉄鋼の貿易収支赤字化、1968年の自動車の貿易収支赤字化に続き、1971年には約100年ぶりに貿易収支全体も赤字に転落し、「パックス・アメリカーナの終焉」といわれました。1975年のサイゴン陥落は米国の対外的威信を大きく傷つけ、経済状況の悪化と相まって、社会的な閉塞感が広がりました。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】4月25日(木)開催
【税理士が徹底解説】
駅から遠い土地で悩むオーナー必見!
安定の賃貸経営&節税を実現
「ガレージハウス」で進める相続税対策

 

【資産運用】5月8日(水)開催
米国株式投資に新たな選択肢
知られざる有望企業の発掘機会が多数存在
「USマイクロキャップ株式ファンド」の魅力

次ページ米国株は過去に10~20年で株価が10倍になっている

※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。

No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法

No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法

菊地 正俊

日本実業出版社

絶好調の米国株市場には、Amazon、グーグルなど日本人もよく知るハイテク企業に加えて、ビデオ会議システムのZoomなどの急成長企業の存在があります。 そうした「日本株より面白くて儲けやすい」米国株投資に関する解説書の決…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧