せっかく立地のいい不動産を相続しても、そのまま放置してしまっては「宝の持ち腐れ」です。固定資産税を納めるだけのマイナス物件にならないよう、できるだけ早い段階での対策が望まれます。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

実家を売却、娘たちのために区分マンションを購入

ここで、実際の事例を紹介しましょう。

 

70代になったばかりの三崎さんは、資産家の長男です。結婚してからは家を離れ、両親とはずっと同居せずに暮らしてきました。3歳年下の妹が嫁いで以降、都内の高級住宅地にある実家では、ずっと両親が2人住まいをしてきました。15年前に父親が亡くなり、その後母親はひとり人暮らしをしていましたが、亡くなるまでの2年間は介護施設に入所していました。

 

 

母親が亡くなり、三崎さんが都内の実家を相続してしばらくたちますが、家はそのまま手付かずの状態です。現在は自分で購入した家に妻と2人で暮らしており、実家に戻って住むという選択肢はありません。実家は立地もよく、現在の住まいより広いのですが、建物の老朽化が進み、相当な費用をかけてリフォームするか、建て直すかしないと住めません。

 

なんとかしなくてはと思いつつも、大量に残った両親の荷物を片づけられず、放置していたのですが、相続税の基礎控除が下がったことや、仕事もリタイヤして時間の余裕ができたこと、なにより、自分の相続発生時に娘たちが大変な思いをするのではという心配から、思い切って対処することにしたのです。

 

筆者が三崎さんの財産総額を試算すると、およそ1億8000万円という結果になり、相続税の負担もあることがわかりました。そのため、売却し、その範囲で節税対策用に別の賃貸不動産を購入することを提案しました。

 

実家の土地はかなり広いため、建て売り用地として不動産会社が買い取ることになり、建物がある状態で売却することができました。その後ほどなく、いい物件を探すことができたため、資産の組み換えを思い立ってから、1年もかからずに売却・買い替えの相続対策をすませることができました。いずれ2人の娘たちに渡せるようにと、2部屋の区分マンションを購入しています。
 

 

曽根 惠子

 

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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    本記事は、株式会社夢相続が運営80代するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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