台湾が仕かける「就業ゴールドカード制度」
この「新台湾人」という概念にある「新」という字は、「エスニックグループを超えた融合を目指す」という意味ですから、いつの時代にあっても「新」であり続けます。李総統の時代には、主に東南アジアから台湾へ嫁いできた女性たちを指す「新住民」という概念はありませんでした。結婚などで他の国に移民していくというような概念を持った国はさほど多くなかったと思います。
しかし、現在では、全世界からビザを取得して台湾を訪れる人たちが増えています。というのも、「就業ゴールドカード制度」というものがあるからです。これは台湾政府が実施しているビザ優遇措置で、特定の専門技術を持っている外国人にはビザが優遇して発行される制度です。
このゴールドカードを取得すれば、三年間台湾に住むことができます。また、ゴールドカードを取得した人は、雇用主を探す必要がありません。自営業を始めるのもよし、外資系企業で働くもよし、と非常に自由な制度になっています。さらに、自分のもともとの国籍を放棄せずに台湾の国籍を取得できるという制度も設けています。
こうした制度が拡充していくことで、「新台湾人」という概念はますます広がっていくでしょう。李登輝氏は当時、ここまでは考えていなかったと思いますが、現在では様々な意味が含まれるようになってきています。その礎を築いたという点でも、李登輝氏の貢献は大変大きかったと言えるでしょう。
オードリー・タン
台湾デジタル担当政務委員(閣僚)
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