新興住宅地に集中投資、手つかずのバングラデシュ不動産攻略へ

宗吉敏彦はリーマンショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消した。リーマンショックで地獄に堕ちた男はアジアで再起のチャンスをいかに掴んだのか。宗吉とともに躍進するアジア不動産市場の潜在力と今後の可能性を探る。本連載は前野雅弥、富山篤著『アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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ごく限られた土地に日本を上回る人口がひしめく

首都ダッカは押しも押されもせぬメガロポリス

 

バングラデシュ、シャージャラル国際空港。一歩外に足を踏み出すと一瞬、視界が暗くなる。出迎えの人たちが空港の正面にびっしり。あまりに隙間なく人が立っているので、光線の通り道をふさいでしまっているのだ。1平方キロメートルあたり1000人超と人口密度世界一の国は電車の乗り方も日本とは違う。車両のなかは人がすし詰め状態だが、それで乗れなければ今度は屋根の上に乗る。そこもびっしり。

 

「時々人が落ちて、なかには死ぬ人も年に何人かはいる」

 

わざわざこうした国にやってきてビジネスをやろうという人はまずいない。相当の変わり者だ。ほんのたまに日本人がやってきて街を歩いていようものなら、いっせいに好奇の視線を引き寄せてしまう。そしてそれが宗吉敏彦(クリードグループ代表)だった。

 

しかし、奇を衒っているわけではない。宗吉なりに一般の人が考えるのとは別の理屈があった。

 

バングラデシュは街を走っている車はみんな日本車。国旗も日本に似せてつくるほどの親日国だという。(※写真はイメージです/PIXTA)
バングラデシュは街を走っている車はみんな日本車。国旗も日本に似せてつくるほどの親日国だという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まず一般の人のイメージはこうだろう。「バングラデシュは狭い」。確かにそうだ。バングラデシュの面積は14万7000平方キロメートルで、日本の4割の規模だ。北海道と東北地方を足したくらいのところに、1億6365万人が住む。しかも国土のかなりの部分が湿地帯だ。

 

インド大陸の東に位置するバングラデシュは大河ガンジス川がベンガル湾に注ぎ込む河口付近の湿地帯で、「黄金のベンガル」とも呼ばれる肥沃な土地だが、池や沼地も多い。ごく限られた土地に日本を上回る人口がひしめくわけだから人口密度は当然、高くなる。街は横に広がる余地は少なく建物を高層化して上に伸びていくしかない。生産性も高くない。かつて世界最貧国と呼ばれ、2018年度の1人当たりのGDPは1675ドルと、日本(3万9300ドル)の20分の1以下だ。

 

しかし、宗吉はこう考える。バングラデシュ全体でみれば確かに貧しい。しかし首都ダッカはどうだ。1人当たりのGDPは約5000ドル。タイの7448ドルに迫る。しかも人口は約2000万人。タイの7割程度の所得水準の人が2000万人もひしめくとなれば、文句なしの成長市場なのだ。仮に富裕層がたった5%だったとしても数にして100万人。

 

その上、外資という意味ではさしたる競合相手もいない。手つかずの状態で放置されている。宗吉にしてみれば「放っておくなんて、こんなもったいない話」となる。

クリードグループ 代表

1965年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、伊藤忠商事に入社。不動産開発やコーポレートファイナンスに従事したのち、1996年クリードを設立。
当時の国内不動産業界で一般的でなかったDCFの概念を取り入れた不動産投資・評価にいち早く着目し事業をスタート、私募不動産ファンド・REIT運用等を手がける。
2012年からは、マレーシアを皮切りに本格的に東南アジアでの不動産投資に着手。現在、シンガポールに拠点を移し、マレーシア、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナムで事業を展開している。

著者紹介

日本経済新聞 記者

東京経済部で大蔵省、自治省などを担当後、金融、エレクトロニクス、石油、ビール業界等を取材。現在は医療、不動産関連の記事を執筆。著書に『田中角栄のふろしき』(日本経済新聞出版社)がある。

著者紹介

日本経済新聞 記者

2014年よりハノイ支局長としてベトナム全般を取材。現在は日経産業新聞の海外面デスクを務める一方、外国人労働者問題、ASEANなどを取材。著書に『現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門』(アスク出版)がある。

著者紹介

連載リーマンの敗者、沸騰するアジアの不動産市場で奇跡の復活

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

宗吉 敏彦 前野 雅弥 前野 雅弥

プレジデント社

クリードの奇跡の主人公、宗吉敏彦は、2009年1月9日、リーマン・ショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消したものの再びアジアで復活したかと思ったら、世界的な新型コロナウイルスの…

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