高齢者が救急車で運ばれる原因「8割が転倒?」
親の健康に関してもう1つ、地元の「地域包括支援センター」に足を運ぶこともお勧めします。地域包括支援センターは「要介護になってから相談に行くところ」と思っている人が多いようですが、親が元気な時にこそ訪ねておいてください。
地域の介護状況をはじめ介護に関する情報がたくさん得られますし、あらかじめ「高齢の親が2人で暮らしている」と伝え、連絡先を渡しておけば、先方も気にかけてくれるでしょうし、自治体などが実施している高齢者向けの住宅改修への助成金制度など有用な情報や利用できるサービスについても教えてくれると思います。
なお、健康に関連することとして、暮らしている家の環境についても、忘れずに確認しておく必要があります。家の中の段差の有無、風呂場の浴槽の高さ、寝室からトイレへの動線などは、どうなっているでしょうか。
というのも、高齢者がケガをする場所は、「自宅」が最も多いのです。老化とともに筋力が衰えてくると、歩くときにすり足になってちょっとした段差にもつまずくようになりますし、浴槽への出入りやトイレの時も足がよろけ、転倒しやすくなります。
東京消防庁によると、転倒による事故は、救急車で運ばれる高齢者の事故の約8割を占めているのだとか。日常生活の中では、何も摑まずに立ち上がって転んだり、部屋の段差でつまずいたり、バスやエスカレーターなどの乗り降りの際に転倒するケースが多いそうです。
さらに「高齢社会白書」(平成30年版・内閣府)によると、高齢者(65歳以上)の住宅内での事故の発生場所は、次の順で多いそうです。居室、階段、台所・食堂、玄関、洗面所、風呂場、廊下、トイレ。
あなたのご両親がお住まいのお家はどうでしょうか? そういう目線で見たことがありますか?
高齢者の骨折は重症化して「寝たきり」につながりかねず、認知症の発症リスクも高まります。階段や風呂場、トイレなどには手すりをつけるようにし、室内の段差もできるだけ解消しておきましょう。また、とくに冬場はヒートショックも心配です。トイレや風呂の脱衣場には小さめの暖房器具を用意しておくといいようです。
安田 まゆみ
元気が出るお金の相談所 所長
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