インドネシア不動産成功法則「中間層と低所得者層を狙うべし」

宗吉敏彦はリーマンショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消した。リーマンショックで地獄に堕ちた男はアジアで再起のチャンスをいかに掴んだのか。宗吉とともに躍進するアジア不動産市場の潜在力と今後の可能性を探る。本連載は前野雅弥、富山篤著『アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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政府の住宅政策に乗れば事業規模が一気に拡大

政府注力の住宅政策に乗る

 

インドネシアのチカラン、カラワンエリア。ジャカルタから東に30キロ程度の工業地帯だが、宗吉はここでもあるユニークな開発プロジェクトの実験を始めた。100万円住宅プロジェクトだ。

 

チカラン・カラワンと呼ばれるエリアには、あわせて6~7つの大規模工業団地が広がる。そのなかには日系企業が開発する工業団地もいくつかある。伊藤忠商事が開発を進めるカラワン工業団地(トヨタ自動車、ヤマハなどが進出)、丸紅が手がける工業団地「MM2100」(ホンダ、デンソーなどが進出)、双日が主導する工業団地「デルタマス」(イオン、スズキ、三菱自動車などが進出)などだ。

 

周囲には東南アジアらしい田園風景が広がる。その田園地帯を抜けてバイクで約30~40分行った場所に宗吉が手がける壮大な実験場がある。ローコスト・ビレッジ・プロジェクト「ムスティカ・ビレッジ・スカムリア」だ。田んぼを埋め立て約35ヘクタールの土地を確保、2019年からここで1戸建ての販売を始めたのだった。総戸数3100戸。5~6軒の平屋建ての住宅が長屋のように連なる連棟式の住宅で、1戸あたり約100万円。工業団地で働く低所得者向けに販売を開始した。

 

インドネシアの工場地帯でクリードはユニークな100万円住宅開発プロジェクトを始めたという。(※写真はイメージです/PIXTA)
インドネシアの工場地帯でクリードはユニークな100万円住宅開発プロジェクトを始めたという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

1軒あたりの土地面積は60平方メートル。建物の延べ床面積は24~30平方メートル程度だ。成熟した日本からみれば「安いが小さい住宅」だ。

 

しかし、「バナナハウス」と呼ばれるバナナの葉で屋根を葺いた掘っ立て小屋に住んだり、何家族も同居したりが当たり前のインドネシアの低所得者にとっては魅力的な住宅だった。まだ始めたばかりだが、日本企業のブランドと手堅い仕事が受けて、公務員や軍人向けに月40~50戸が継続的に売れる。

 

「事業を継続的に成長させたければ、中間層と低所得者層を狙うべし」

 

宗吉の信念通りのプロジェクトで、これが見事に現地で受け入れられている格好だ。

 

ただ、もちろん宗吉が動くのだ。きれいごとだけではない。宗吉なりの読みがある。それがジョコ大統領が掲げる政治公約「低所得者向けのローコスト・ハウジング政策」だ。

 

いわゆる「FLPP(Housing Finance Liquidity Facility)プロジェクト(低所得者向け住宅開発)」で、日本のように政府傘下で都市再生機構(UR)などの組織は立ち上げない代わりに、住宅ローンの担保価値を算定する「掛け目」や金利など金融面で支援し、2015年から2019年で年間100万戸の住宅を供給する計画を打ち出している。実際の住宅供給は全く計画に追いついていない状態で「この波に乗れれば、インドネシアでの事業規模が一気に拡大する」と見ているのだ。

クリードグループ 代表

1965年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、伊藤忠商事に入社。不動産開発やコーポレートファイナンスに従事したのち、1996年クリードを設立。
当時の国内不動産業界で一般的でなかったDCFの概念を取り入れた不動産投資・評価にいち早く着目し事業をスタート、私募不動産ファンド・REIT運用等を手がける。
2012年からは、マレーシアを皮切りに本格的に東南アジアでの不動産投資に着手。現在、シンガポールに拠点を移し、マレーシア、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナムで事業を展開している。

著者紹介

日本経済新聞 記者

東京経済部で大蔵省、自治省などを担当後、金融、エレクトロニクス、石油、ビール業界等を取材。現在は医療、不動産関連の記事を執筆。著書に『田中角栄のふろしき』(日本経済新聞出版社)がある。

著者紹介

日本経済新聞 記者

2014年よりハノイ支局長としてベトナム全般を取材。現在は日経産業新聞の海外面デスクを務める一方、外国人労働者問題、ASEANなどを取材。著書に『現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門』(アスク出版)がある。

著者紹介

連載リーマンの敗者、沸騰するアジアの不動産市場で奇跡の復活

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

宗吉 敏彦 前野 雅弥 前野 雅弥

プレジデント社

クリードの奇跡の主人公、宗吉敏彦は、2009年1月9日、リーマン・ショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消したものの再びアジアで復活したかと思ったら、世界的な新型コロナウイルスの…

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