米国では、3月末までに人口の25%超が新型コロナワクチンの1回目の接種を終えており、感染者数自体は多いものの、経済活動の全面復帰が期待される状況となってきました。今回は株式会社エー・ディー・ワークスの小川謙治氏が、大型財政出動およびFRBによる「量的金融緩和」の続行と「低金利維持」が明言された米国の「インフレ懸念」について考察していきます。

債務過多を軽減するインフレは避けられない可能性大

CMBSの分野でみますと、店舗およびホテル分野でのローンパフォーマンスが確実に本年第3四半期から上向くことが期待されますので、ローン延滞状況の正常化が大いに期待されます。

 

とはいっても、高利回りコーポレート債券(HYB)及び融資債権のクラス別証券化(CLO)の分野をみてみると、セグメント別では小売り(店舗)及びエネルギー分野での取引価格が未だ低迷していることから、正常化するにはやや時間を要することになるかもしれません。

 

その背景として、新型コロナ禍による財務内容の悪化が原因で、多額の借入から借入過多に陥っていることがあり、それらの債務返済に時間を要する状況となっています。

 

具体的な数値でいいますと、HYBを発行するような企業群の財務内容は、新型コロナ禍前で、有利子負債と営業キャッシュフローの倍数が2020年で4.6xだったものが2020年末で5.9xまで拡大しています。

 

米連邦準備制度理事会が量的金融緩和を継続する背景には、政府債務の拡大もあることながら、民間の債務残高の急増に対応するもので、意図的にインフレに誘導しようとしているのかもしれません。

 

以上のポイントから察するに、インフレ懸念が心配される米国ではありますが、政府および民間の債務過多を軽減するインフレは避けられないのかもしれません。

 

 

(本記事の内容は筆者個人の分析・見解です。)
 

 

 

小川 謙治

株式会社エー・ディー・ワークス

金融商品開発部 ディレクター

 

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