相続税対策として注目されてきたタワーマンションですが、近年は税務署もその動向に注視していると言われています。今回は相続が発生する直前にタワマンを購入した事例について、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の戸﨑貴之税理士が、相続税上の取り扱いについて解説していきます。

「市場価格」で計上か、「路線価」による評価か

それでは、本事例においては、タワーマンションの評価額については、引き渡すための権利とみなし、『市場価格』で計上するのか、路線価による『相続税評価』のいずれにするべきでしょうか。

 

市場価格、つまり購入金額で評価を行う場合、税務リスクは生じないと考えられます。例外的な扱いとなる相続税評価では、要件のポイントを整理する必要があります。

 

1.相続発生直前の取引である

2.市場価格と相続税評価額に乖離は生じている

3.自宅として利用することを想定していた

4.融資の理由は節税目的ではない

5.タワーマンションを取得する相続人は購入後も自宅としての利用を想定している

 

上記事実を整理しますと、自宅利用を想定しており、節税という意思はありませんが、相続発生の直前である点と価格差という点が税務上のリスクになります。

 

そのため、路線価評価による場合には、白か黒か明確に結論付けることは難しく、あくまでもグレーゾーンという位置付けになり、税務署との見解の相違が生じる可能性が非常に高くなります。

 

納税者側として、自宅としての利用を想定していたことを客観的に証明できるものを有するか、どの程度の価格差が生じるかによって判断していく必要があります。

 

■まとめ

本件のようなケースのタワーマンションの税務上の取り扱いは、税務署も注視しており、総合的な税務判断を要するため、税務リスクが非常に高い論点となります。

 

自身のリスク許容度を含めて相談にのってもらえるような相続税に特化した税理士への相談をおすすめします。

 

 

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