医学部受験専門予備校に通っていた4浪中(22歳)の学生は、他の生徒とのトラブルのせいで、少しずつ授業に来る回数が減っていました。心配した医学部専門予備校の長澤潔志氏が生徒の家に行き、顔つきを見てあることに気が付きました。

「怒るのも教育!」ただし、この怒り方はダメ

そして、彼と二人で決めました。第一歩として、「嫌だなというほうを選択して生きてみよう」ということです。だから、人がどう見ようとまず一緒に予備校に行こう。そして自分のために勉強してみよう。そしてその勉強が今日はどこが楽しかったのか私に話してほしい。彼はとても素直に「頑張る」と言ってくれたのです。

 

その彼が2年後、某大学の医学部に入学しました。私は彼の白衣姿を想像し、涙が止まりませんでした。若者はみるみる間に成長します。何と素晴らしいことでしょうか。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

この子の場合は、親の放任と過保護が原因で、世間に向き合う準備ができていなかったのです。私が彼を説得している間、親はどうしていたか。「この予備校で本当にいいの?」と何回も本人に向かって言っていました。つまり、親こそが、人のせいにする習慣の持ち主だったのです。

 

このように「親からまず教育しなければ」と思うことも少なくありません。もちろん、親にも注文をつけます。「お母さんもお父さんも、体当たりでやってください。怒るのも教育なのです」などとよく言います。ただ、感情に任せて怒るのではなく、ちゃんと理性的に怒ることが大切です。

 

「ここは怒ってあげなくちゃ」というタイミングにはしっかりと怒らなくてはいけないのです。それも親の義務です。親が「面倒だな。子供と喧嘩などしたくないな」と避ければ、子供も同じように嫌なことを避ける人間になってしまいます。

 

ただ、繰り返しますが、感情で怒っても意味がありません。理性的に、相手の反応を観察しながら怒るのです。

 

多くの親は怒らないか、感情的に怒るかのどちらかです。感情で怒る場合は、価値観もどこかにいってしまいますし、子供に対する説明もありません。

 

ただひたすら子供を責めます。「お前はダメだ」と言い続けます。それでいて「結果を出せ、早く出せ、何をやっているのだ」とせっつきます。それでは子供の感情はズタズタになってしまいます。

 

たとえ世間は待ってくれないとしても、親くらいは長い目で見て、待ってあげる寛容さが必要なのではないでしょうか。

 

とにかくちゃんと子供のことを見てあげて、向き合っていくことです。どんなに忙しくても、そこをなおざりにしてはいけません。できるだけの時間を子供に注いでほしいのです。親が怠ければ、子供にもうつります。それが親の後ろ姿なのです。

 

 

長澤 潔志

医学部専門予備校・TMPS医学館代表取締役

 

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本連載は、『医学部受験の闇とカネ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。なお本記事で紹介している内容は、著者の体験をもとに執筆しております。万一、本連載の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。

医学部受験の闇とカネ

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長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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