「駅裏一等地」を狙った奇策で…インドネシア不動産の攻略法

宗吉敏彦はリーマンショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消した。リーマンショックで地獄に堕ちた男はアジアで再起のチャンスをいかに掴んだのか。宗吉とともに躍進するアジア不動産市場の潜在力と今後の可能性を探る。本連載は前野雅弥、富山篤著『アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

「駅までの距離」交通の利便性にこだわる

宗吉は北側の開発には一切、加わろうとはしなかった。なぜなら北側の場合、駅に近い一等地はほとんどシナルマスが押さえているためだ。もし宗吉がやるとしても駅から離れた場所での開発しか残されていなかった。「それではダメだ」。宗吉は北側を捨て南側に回った。

 

駅の裏側から攻める―。確かに駅前の徒歩1分の土地がすっぽり空いていた。駅前どころか一帯はほとんどガラガラ。何もなかった。生活するにも具体的なイメージはまるでわかないほどだった。奇策中の奇策といえたが、宗吉はあくまで南を主張した。

 

「裏だろうが表だろうが大切なのは駅までの距離」

 

考えてみれば日本がそうだった。かつてはもてはやされた田園調布なども駅までの送り迎えが必要なエリアは最近では閑古鳥が鳴いている。代わりに江東区や江戸川区などこれまで「エリアのブランド力である地位が低い」とされてきた土地でも、最寄りの駅に直結する物件なら売り出しと同時に売れてしまう。パワーカップルと呼ばれる共働き世帯の台頭で、とにかく利便性が重視されるようになっていた。

 

「インドネシアもいずれそうなる」

 

宗吉はそう読み「駅裏の一等地」を押さえた。そんな「セルポン・ガーデン・アパートメント・プロジェクト」。マンションから駅直結のルートをつくり、雨の日でも濡れずに駅まで歩いていけるようにし、「駅直結」の力を最大限に引き出す設計とした。同時に、シナルマスが北側に整備したバスターミナルにもアクセスしやすいよう動線を確保した。交通利便性の良さに徹底的にこだわったのだった。

 

このプロジェクトが間違っていなかったことは、開発したマンションを売り出してみて、すぐに分かった。宗吉がここで計画したのは全5棟(総戸数5371戸)。このうち3棟が建築中で2019年秋に上棟したが、売り出した2247戸のうち約85%がすでに売れてしまった。

 

インドネシアは今、ちょうど調整局面にあるため、新築マンションの発売価格はここ数年、上昇が止まっている状態にある。宗吉が手がける開発プロジェクトにも影響がないわけではないが、1戸あたりの販売価格は2万~4万ドル(約220万~440万円)とシナルマスが進めるプロジェクトの50~70%程度の価格帯に設定したことが奏功した格好だ。とりわけ庶民に喜ばれた。

 

インドネシアの大卒の年収は30歳で1万ドル(約110万円)、マンションの発売価格はその年収の約2倍といったところで、庶民になれば年収が下がり、負担はさらに重くなるが、それでも売れた。

 

ジャカルタ中心部に毎日通勤する中間層を視野に入れた商品設計とし、1日を渋滞の中で過ごすより電車利用で毎日の時間を家族と過ごすために買うマンション、というコンセプトで販売したのが見事に受けたのだった。宗吉の狙いはここでも的中した。

 

宗吉 敏彦
クリードグループ 代表

 

 

【勉強会/相談会情報】 

 

少人数制勉強会】30代・40代から始める不動産を活用した資産形成勉強会

 

【医師限定】医師だけしか買えない「不動産投資物件」ご紹介WEBセミナー(※数量限定/参加特典付)

 

【対話型セミナー/複数日】会社員必見!副収入を得るために何をすべきか?

 

【40代会社員オススメ】新築ワンルームマンション投資相談会

クリードグループ 代表

1965年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、伊藤忠商事に入社。不動産開発やコーポレートファイナンスに従事したのち、1996年クリードを設立。
当時の国内不動産業界で一般的でなかったDCFの概念を取り入れた不動産投資・評価にいち早く着目し事業をスタート、私募不動産ファンド・REIT運用等を手がける。
2012年からは、マレーシアを皮切りに本格的に東南アジアでの不動産投資に着手。現在、シンガポールに拠点を移し、マレーシア、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナムで事業を展開している。

著者紹介

日本経済新聞 記者

東京経済部で大蔵省、自治省などを担当後、金融、エレクトロニクス、石油、ビール業界等を取材。現在は医療、不動産関連の記事を執筆。著書に『田中角栄のふろしき』(日本経済新聞出版社)がある。

著者紹介

日本経済新聞 記者

2014年よりハノイ支局長としてベトナム全般を取材。現在は日経産業新聞の海外面デスクを務める一方、外国人労働者問題、ASEANなどを取材。著書に『現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門』(アスク出版)がある。

著者紹介

連載リーマンの敗者、沸騰するアジアの不動産市場で奇跡の復活

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

宗吉 敏彦 前野 雅弥 前野 雅弥

プレジデント社

クリードの奇跡の主人公、宗吉敏彦は、2009年1月9日、リーマン・ショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消したものの再びアジアで復活したかと思ったら、世界的な新型コロナウイルスの…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!