定年前後はお金に関する様々な誘惑があり、危険な罠にはまって老後破綻に陥る人も多いです。しかし、50歳を過ぎたらするべきこと、してはいけないことを知っておけば、老後のお金の不安は解消できます。今回は、50歳から10年間で1000万円を貯める方法について解説します。※本連載は、山中伸枝氏の著書『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「つみたてNISA」「iDeCo」の非課税口座を利用する

もう1つ、50歳からの資産運用で活用したいのが、非課税口座の利用です。「つみたてNISA」や「iDeCo」など、いずれも運用で得られた利益に対して課税されません。

 

つみたてNISAは2037年までの時限的措置ですが、毎年40万円を上限に積み立てた資金から得られる運用収益が非課税になります。夫婦2人で各々、つみたてNISAの口座を開設できるので、年間80万円の非課税口座が認められます。10年間の積立で、合計800万円が非課税運用できるのです。

 

それとともに、iDeCoという個人型確定拠出年金を利用すると、企業型確定拠出年金がない企業に勤務する第2号被保険者(会社員)の場合、月2万3000円を上限に拠出した掛金の全額が所得控除になり、さらに運用収益も非課税です。

 

また、iDeCoは第3号被保険者(専業主婦)も加入でき、その拠出額の上限は2万3000円です。

 

つみたてNISAにiDeCoも合わせると、夫婦2人で満額積み立てた場合、合計で毎年135万2000円が非課税で積み立てられます。これを10年間続ければ、合計で1352万円の金融資産を築くことができます

 

しかも、この金額はあくまでも元本ベースです。毎月2人でつみたてNISAに6万6000円、iDeCoで4万6000円の合計11万2000円を、年4%で運用できた場合、10年後の額は1649万1978円、年8%で運用できた場合は2048万9956円になります。これだけの金融資産があれば、お金の不安のない老後を過ごせるでしょう。

 

ちなみに金融広報中央委員会が毎年行っている「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代で金融資産を保有していないと答えた人の回答比は17.4%でした。全体の8割の人は何らかの形で金融資産を保有しており、保有額の中央値は1186万円です。

 

全く金融資産を保有していないという人は、「いまさら始めても遅いし」などとあきらめムードに陥りがちですが、何事も始めるに遅いことはありません。貯蓄も全くのゼロよりは、100万円でも200万円でもあれば、何かのとき、必ず役に立ちます。

 

その意味では、毎月10万円の積立金額が厳しいのであれば、5万円でもいいのでとにかく積立を続けることが肝心です。

 

山中 伸枝

株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役

 

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話

山中 伸枝

東洋経済新報社

定年前後の5年間、お金との付き合いには罠がいっぱいあります。老後の生活が始まる前に破綻してしまう人もいるくらい、とっても危険な罠です。この本では、その危険な罠にはまらないよう、筆者自身が実際に本人たちから聞いた…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧