どんなリスクが潜んでいるかわからない「家と土地」。髙橋土地家屋調査士事務所代表・髙橋輝氏の著書『買ってはいけない家と土地』(自由国民社)より一部を抜粋・編集し、営業マンが売れ残りを処理する際に用いるセールス術を紹介していきます。

営業マンの本命物件は「3軒目」の理由

【営業マンは契約する物件を決めている】

 

これも実際に私が教えられた手法です。お客さまの予算から案内する物件を3つほど考えておきます。

 

お客さまから聞いた予算は3300万円だとしましょう。まずは売れ残り物件を案内します。

 

新築の一戸建てですが、建物の裏に川(ドブ川)が接していて、駅からバス便という、なかなか売りづらい物件に案内します。物件の価格は3180万円です。

 

案の定、お客さまは「駅から遠いのね」「裏のドブ川が気になる」という反応でした。しかしこれは想定内です。そう、この物件は「捨石物件」なのです。「捨石物件」とは、営業マンがもともと売れると思っていない物件です。

 

なぜ、買わないと思われる物件にわざわざ案内をするのでしょうか。それは、「お客さまの予算だと、これぐらいの物件しか買えない」と認識させるためです。嫌悪施設、日当たり、バス便などのどれかを我慢しなくては、その予算でこのエリアでは理想のマイホームはないということを認識してもらうのです。

 

次に案内するのは、3800万円の物件です。お客さまの予算より500万円オーバーしています。先程の物件に比べて嫌悪施設などはなく、日当たりも良好です。当然お客さまの反応としては「高いけどいいわね」となります。「でも、予算オーバーだから、うちには無理ね」ということで、次の物件へ行きます。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

最後は3400万の物件。先程よりは見劣りしますが、近くに嫌悪施設などはなく、駅からも徒歩15分ほどです。

 

最初の物件でがっかりしていたところに、ちょっと頑張ればいい家が手に入るとお客さまは思うようになります。

 

心理的なことだと思いますが、このように物件を紹介していくと、購買意欲が増すお客さまが多いのも事実です。

 

不動産業者の営業マンは、お客さまが提示する予算は、少し低めに申告していると考えています。本当に物件を気に入れば、100万円ぐらい多く出せる余裕があると考えているのです。

 

でも、申告された予算よりかなりオーバーしているのに、2件目の3800万円の物件はどうして案内したのでしょうか。それは、親からの資金援助があるかもしれないからです。

 

ご両親から500万円程度の資金援助はかなりの確率であります。現在だと贈与税もかかりませんので(住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)、そこを狙っているのです。

 

営業マンとしては、最後の物件を本命として、予算よりかなりオーバーしている2件目で申込みが取れたら棚ぼたものです。

 

このように、営業マンは物件を売るために心理作戦も駆使して、契約までをイメージしているのです。

 

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買ってはいけない家と土地

買ってはいけない家と土地

髙橋 輝

自由国民社

物件を選ぶとき、ほとんどの方は、どうしても「建っている建物」だけに目が向いてしまうようです。 毎日の家事がしやすかったり、自分好みの雰囲気の中で暮らすことに想像を巡らせることも確かに大事なこと。 でも、安心して…

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