麻酔科医から在宅医へと転身した矢野博文氏は書籍『生きること 終うこと 寄り添うこと』のなかで、「最期までわが家で過ごしたい」という患者の願いを叶えるために、医師や家族ができることは何か解説しています。

療養の「方針決定」において重要なことは?

ここでは療養の「方針の決定」について考えてみたいと思います。

 

本人が意思表示できる場合は、まだわかりやすいのですが、問題となるのは認知症などで本人が意思表示できない場合です。このような場合は家族と相談せざるを得ないわけですが、ここに一つの落とし穴があります。家族の都合を優先してしまう場合が往々にしてあるのです。家族の意見を鵜呑みにしてしまうと、本人の意思とはかけ離れた方針となってしまうことがあります。

 

また、家族の満足のためだけの方針になってしまう場合もあります。診療や介護にかかわる人々がこのような家族の都合に流されてしまうと、本人は完全に置き去りにされてしまいます。

 

ここでは「本人は何を望んでいるか」を優先するべきでしょう。一〇〇パーセントその意思を知ることは不可能ですが、でき得るかぎりの努力をして、でき得るかぎりに想像力を使って、それを探る必要があります。

 

Aさんのような人に経口摂取を許可することは、当然リスクを伴うものであり、さまざまな意見があるかと思います。

 

発生し得るリスクを家族にわかりやすく提示し、十分に理解していただき(これは主治医の最低限の務めです)、そのうえで本人や家族の希望に沿うように相談した結果、今回の方針となりました。ただ、どのような方針になるにしろ、本人や家族との強い信頼関係がその根底にあることを忘れてはならないと思います。

 

そのためには、お互いのコミュニケーションを十分に取り、お互いの話が「腹を割って」「遠慮なく」「いつでも」できるよう、心がけることも必要になります。

 

 

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矢野 博文

 

1957年7月徳島市生まれ。1982年川崎医科大学を卒業。以後病院で麻酔科医として勤務。2005年3月よりたんぽぽクリニックで在宅医療に取り組む。

 

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『生きること 終うこと 寄り添うこと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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鬼木 一直

幻冬舎メディアコンサルティング

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