日本人の平均寿命は延び、「人生100年時代」と言われています。しかし、これまで築き上げた資産がなくなるまでの期間、すなわち「資産寿命」が短いと、自分のやりたいことができません。今回は年金不安が騒がれるなか、老後生活を支える「公的年金」の本質に迫ります。※本連載は、大江英樹氏の著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「公的年金」が「民間保険」より断然有利といえる理由

さらに言えば、国の年金と同じ保険料で同じ保障を得るのは民間保険会社では絶対に不可能です。その理由は営利企業と公的機関の違いにあります。

 

民間保険会社は営利企業ですから契約者が支払う保険料の中から運営費用に加えて自分たちの利益分を取るのは言うまでもありません。ところが国の場合は年金で儲けようとは全く思っていませんので保険料も極めて安いのです。実際、公的年金の場合、国民年金は保険料の半分が税金からまかなわれますし、厚生年金なら勤め先の会社が半分負担しています。

 

したがって民間保険に比べると、自分の負担する保険料はかなり安くなります。言わば公的年金は民間では望むべくもない有利な保険ですから、これをまず第一に考え、それで足りないと考えるなら民間の保険に加入すればいいのです。

 

したがって年金については貯蓄のように損得を論じることはあまり意味がありません。例えば生命保険で一番大儲けできるのは、契約した途端に死ぬことです。でも死んでしまえば損も得もありません。

 

一方、年金で一番大儲けできるのは誰よりも長生きした場合です。逆に年金保険料をずっと払い込んで、いよいよ貰えるという65歳になる直前に死んでしまったら大損ですね。でもこれも生命保険同様、死んでしまえば得も損もなくなってしまいます。

 

前述のように、人生において最も深刻な問題の一つが長生きしてお金が無くなってしまうという恐ろしい事態ですから、それに備えることが年金の一番大切な役割なのです。

 

要するに保険はいつ起きるかわからない不測の事態に対して備えるためのものであり、そういうことが、いつ、どれぐらいの確率で起きるかを計算して制度を設計するという仕組みになっています。

 

公的年金はなかなか良くできた制度です。筆者も若い頃は年金のことをよく知らなかったために「どうせ貰えないだろう」と思っていましたが、年金のことをきちんと勉強すればするほど、安心できるようになります。ぜひ、その基本的な仕組みを正しく理解していただきたいと思います。

 

 

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資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」

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大江 英樹

朝日新聞出版

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