日本人の平均寿命は延び、「人生100年時代」と言われています。しかし、これまで築き上げた資産がなくなるまでの期間、すなわち「資産寿命」が短いと、自分のやりたいことができません。それだけでなく、見栄を張った予算オーバーの支出が多いと、老後破産に陥りかねません。そこで今回は、「老後の支出」を抑えるコツについて解説します。※本連載は、大江英樹氏の著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

老後の支出抑止には「ルールを決めておく」ことが大切

このようにこれら二つの支出は放っておくと歯止めが利かなくなったり、予算をオーバーしたりしがちなので、注意が必要です。

 

ではどのように注意をすればいいのか。それは「ルールを決めておく」ことに尽きると思います。そのルールは人によって違ってもかまいません。例えば筆者の場合は、

 

①自分や家族のやりたいことを話し合った上で優先順位をつけておく

②生活費とこの二つの出費は会計を明確に分けておく

③予算を決めておき、それをオーバーしないよう守る

 

といったことをルールとして決めています。この中で特に大事なのは①です。これは人によって価値観が異なりますので、一緒に暮らす家族とは十分に話をして擦り合わせておくことが大切です。

 

家族と話し合うことが大切(※写真はイメージです/PIXTA)
家族と話し合ってルールを決めることが大切(※写真はイメージです/PIXTA)

 

一般的にこれらの出費の原資は公的年金だけでは難しいと考えた方がいいでしょう。できれば定年後に働いて得る収入とそれを貯めたお金の中から出すようにすることが重要です。

 

もし定年後は一切働かないということであれば、それまでの貯金や退職金から取り崩すことになりますが、その場合もくれぐれもルールを作っておくようにしてください。

コツは「義理欠く、見栄欠く、恥欠く」の「サンカク」

もう一つ、これらの支出をコントロールするためのコツを教えます。それは「サンカク」を実行することです。「サンカク」というのは、「義理、見栄、恥」の三つを欠くことを言います。

 

元々これは夏目漱石の小説『吾輩は猫である』の中に出てくるフレーズです。「金を作るにも三角術を使わなくちゃいけないというのさ。義理をかく、人情をかく、恥をかく、これで三角になるそうだ面白いじゃないか」学校教師の珍野苦沙弥の友人、鈴木藤十郎が言うセリフです。

 

筆者の場合は、これをもじって「義理欠く、見栄欠く、恥欠く」をサンカクと称しているのです。この3つは現役のサラリーマン時代であればともかく、会社をリタイアした後の生活においては、あまり必要のないものばかりです。

 

なぜなら現役時代は地位や立場上、仕方なくやらねばならないこともあったでしょうが、一個人になってしまえばそういうものはほとんど不要だからです。

 

筆者も定年後には結婚式の招待は原則応じない(葬儀は参列します)、年賀状は一切廃止して出さない、といったことを続けていますが、昔の友人との関係は、何ら問題はありません。そもそも現役時代にありがちな「年賀状だけでしかつながっていない知人」というのは交流がなくなってもほとんど影響はないでしょう。

 

そもそも人は誰もが多かれ少なかれ「自意識過剰」な面を持っています。でも自分が気にするほど、人は自分のことを見ていません。だからおおいにサンカクを実行して意味の無い出費をストップすればいいのです。

 

 

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