日本人の平均寿命は延び、「人生100年時代」と言われています。しかし、これまで築き上げた資産がなくなるまでの期間、すなわち「資産寿命」が短いと、自分のやりたいことができません。今回は、投資未経験者が退職金などのまとまったお金で投資を始めることの危険性と、資産寿命の延ばし方について解説します。※本連載は、大江英樹氏の著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』(朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「資産寿命」を延ばすために必要な3つのポイント

よく世間では資産寿命を延ばすためには、持っているお金を運用して増やしましょうと言われます。大体、こういうことをおっしゃる方は金融業界の人か、それに近い立場でファイナンシャルプランナー(FP)などをやっている人に多いように思います。

 

しかしながら、40年以上にわたって「投資」の世界で仕事をしてきた筆者から言わせると、この意見に対してはやや疑問に思っています。

 

投資や資産運用について若い頃からやっていた人であればまだしも、何の経験もない人がいきなり退職金というまとまったお金で投資を始めるのは、極めて危なっかしいと言わざるを得ません。もちろん投資自体が悪いわけではありませんが、投資の結果は不確実なものです。投資で簡単にお金が増えるということは考えない方が良いでしょう。

 

そのあたりの投資や資産運用との向き合い方について、ひとつ言えることは資産寿命の延ばし方は投資や資産運用だけではないということです。むしろ投資を考える前に有効な方法は3つあります。

 

1. 働いて収入を得るようにする

2. 年金の受け取り方を考える

3. 支出をきちんと管理する

 

まず「働くこと」ですが、収入を得るための基本は働くことであり、それは60歳を迎えてからもできないわけではありません。ところが多くの人は「60歳以降も働くなんて、ストレスが続きそうで嫌だ」と思っているでしょう。それに「60歳で定年になった後に働くと言っても、そんなに都合よく働けるところなんかないだろう」と思う人もいるかもしれません。

 

でも60歳からの働き方は実に様々なやり方があります。工夫の仕方によってはストレスなく働き続けることは不可能ではないのです。

 

次に「年金の受け取り方を考える」ということです。年金の受け取り方は一様ではなく、様々なバリエーションがあります。ポイントとなるのは支払う税金をできるだけ少なくすることと、受け取り額を増やす工夫をすることです。

 

これは人によってケースが異なるので複雑に思えますが、原理原則を押さえればそれほど難しいことではありません。

 

そして3つ目は「支出をきちんと管理する」ということです。資産寿命を延ばすには入ってくるお金を増やすか出て行くお金を抑えるか、どちらかしかありません。

 

働いて収入を増やすなら良いですが、働かない場合、入ってくるお金は年金しかありません。これでは増やすにしても限度があります。したがって資産寿命を延ばすには支出をきちんと管理して抑えることがとても大切です。

 

このように資産寿命を延ばすための方法はいくつかあります。それらのうちのただ一つだけをやればいいというのではなく、これらを組み合わせることも必要です。

 

いずれにしても「資産運用をすれば資産寿命が延ばせる」という単純なものではなく、いろんな要素が複雑に組み合わさり、その方法は人によって様々だということはまず知っておいていただきたいと思います。

 

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資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」

資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」

大江 英樹

朝日新聞出版

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