不動産の告知事項と聞けば、孤独死や殺人事件をイメージしがちですが、じつはそういったケースばかりではありません。告知事項とは、不動産業者が買主・賃借人に必ず伝えなければならないとされている事柄を指します。今回は、「告知事項あり」との記載が義務付けられている「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」という4つのパターンについて解説します。

心理的瑕疵:自殺や殺人等があった、いわゆる事故物件

 

自殺や孤独死、他殺などの死亡事故があった物件をいいます。対象となるのは、室内で起こった事故のほか、共用部で起こった事故(建設工事中に作業員が転落死など)も含まれます。これが一般的に「告知事項あり」ときいて思い浮かべるものです。

 

意外と知られていませんが、「病死」に関しては告知義務がありません。その多くは室内で倒れてすぐ家族などに発見され、救急搬送先の病院で死亡が確認されるため、室内ではまだ息があった可能性があるからです。それとは逆に、息絶えた数日後に発見された場合は、たとえ死因が病気であっても「孤独死」として扱われ、告知義務が発生します。

 

賃貸物件では、死亡事故後に初めて入居する賃借人へはその旨告知する義務があるものの、それに次ぐ賃借人へは告知しなくてもいいという暗黙のルールがあります。しかし、事故物件の噂は近隣住民にも知れ渡っていますので、不動産業者が事実を伏せて契約しても、いずれは周辺から漏れ伝わることとなります。そのため、不動産業者も事故物件についてあまり積極的には勧めてきません。

上記4つに分類できないが、告知義務が生じる瑕疵

 

上記4つの瑕疵にはっきり分類できないもので、近隣に墓地や斎場、火葬場があることや、青少年に悪い影響を与えかねない風俗店や暴力団事務所があることも告知事項に当たります。さらに近年では、行政機関が発行する「水害ハザードマップ」に浸水被害想定地域として記載されている場合も告知義務が科せられるようになりました。

 

とはいえ、湾岸や河川地域、いわゆるウォーターフロントの眺望を好む顧客は多く存在するため、水辺立地が不動産投資のマイナス要因になる訳ではありません。

買った物件に瑕疵があったら、早めに業者に相談を

 

プロの不動産業者であっても、目視だけですべての瑕疵を把握するのは難しいことです。とくに壁面の亀裂や雨漏りなどはリフォームしてしまえば跡形もなくなります。そのため、唯一建物の過去を知る物件所有者(売主)が、知り得る瑕疵を包み隠さず「告知書」(付帯設備及び物件状況確認書)に記載することがルールとなっています。

 

不動産業者はこの告知書を基に物件調査を行い、実際に確認できた瑕疵情報を重要事項説明書に反映させます。

 

購入後、告知書にない「隠れた瑕疵」が原因で建物が使えなくなった場合は、買主は売主に対して「契約不適合責任」を求めることができ、瑕疵部分の補修や交換、売買代金の減額を請求できます。それでも建物の状態が改善されない場合や、売主が話し合いの場に出てこないなど消極的な場合は、損害賠償請求や契約解除も行使できます。

 

ただし、契約不適合責任の請求期限は買主が瑕疵を知ったときから1年以内ですので、不具合を感じたらすぐ売買取引を仲介した不動産業者に相談しましょう。

 

 

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    ※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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