医療費控除は実際に支払った日が基準
医療費控除というと、健康のためにかかったお金であれば何でも認められると思われがちですが、予防や付添、美容目的といった、治療に直接当てはまらないものは対象にならないということを覚えておきましょう。
また、損害賠償や保険金などで医療費が補塡された場合も注意が必要です。この場合、補塡された金額を医療費控除の金額から除く必要があります。
よくあるのが、出産にともなう医療費控除の間違いです。たとえば出産にともなって医療費控除が50万円になったとしても、分娩費の補助金制度などで40 万円が戻ってきたのであれば医療費控除は10万円に減額されます。
最後にもうひとつ間違えやすいポイントとして、「医療費の集計期間」の問題があります。
医療費控除は、じっさいに支払った日をベースにカウントされますから、治療を受けたのがいつかは関係ありません。たとえば、令和元年12月分の入院費を、翌年1月に支払ったとすると、この入院費は令和元年分ではなく、令和2年分の医療費控除になります。
医療費控除は、いつも使えるというものではありませんが、一生のうちに何度かは使う機会がくるでしょう。
ケガや病気はできるだけ避けたいものですが、万が一、医療費控除を使えそうな状況になったら、あらためて医療費控除の対象を確認しておきましょう。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年2月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
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