「遺産はすべて寄付する」…自筆遺言書でトラブル発生のワケ

有効な遺言書を作成するためには法律の方式に従って書くことが求められます。特に、家族以外に遺産を遺したい場合は、効力を生じないという事態になってしまう場合もあるので、贈与または寄付先をしっかり特定して記載する必要があるのです。今回は、こすぎ法律事務所弁護士の北村亮典氏が、「有効な遺言書」を作成するために重要なことを解説します。

贈与先が公益目的に限定されていたことがポイントに

「遺言執行者がどこに寄付するかまで担保できないではないか」という反論もありましたが、これに対しても裁判所は、

 

「遺言者自らが具体的な受遺者を指定せず、その選定を遺言執行者に委託する内容を含むことになるが、遺言者にとって、このような遺言をする必要性のあることは否定できないところ、本件においては、遺産の利用目的が公益目的に限定されている上、被選定者の範囲も前記の団体等に限定され、そのいずれが受遺者として選定されても遺言者の意思と離れることはなく、したがって、選定者における選定権濫用の危険も認められないのであるから、本件遺言は、その効力を否定するいわれはないものというべきである。」

 

と述べて、問題ないとの判断を示しました。

 

この判決は、受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言の効力について、最高裁として初めて判断を示したもの、加えて、遺言を有効の方向で解釈した点で、その意義は大きいものと言われています。

 

もっとも、この判例は、贈与先(寄付先)が公共、公益目的に限定されていた、という点が一つの大きなポイントとも考えられていますので、逆に、寄付先が特定されておらず、なおかつ非公益目的の場合には、遺言書において被選定者たる受遺者や遺贈対象財産の範囲が具体的に特定されていて、選定者における選定権濫用の危険が認められないような場合でない限り、遺言が有効であると解することはできないとの指摘もされていますので(判例タイムズ主要民事判例解説852号 166頁参照)、この点に留意する必要があります。

 

※本記事は、北村亮典氏監修のHP「相続・離婚法律相談」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

 

 

北村 亮典

こすぎ法律事務所弁護士

 

 

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こすぎ法律事務所 弁護士

慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。神奈川県弁護士会に弁護士登録後、主に不動産・建築業の顧問業務を中心とする弁護士法人に所属し、2010年4月1日、川崎市武蔵小杉駅にこすぎ法律事務所を開設。

現在は、不動産取引に関わる紛争解決(借地、賃貸管理、建築トラブル)、不動産が関係する相続問題、個人・法人の倒産処理等に注力している。

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