少子高齢化が進むなか、若い世代にまで年金不安は広がっているようです。果たして、いくら年金がもらえるのか? ひとつの目安となるのが、現在の高齢者の年金受取額です。厚生労働省の統計から平均値を見ていきましょう。

年金世代…「年金だけで暮らす」はできるのか?

年金の受給は原則、65歳。60~64歳で受け取る「繰り上げ受給」と、66~70歳で受け取る「繰り下げ受給」があり、期間に応じて1ヵ月あたりの受給額は増減します。

 

厚生労働省『平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、公的年金の被保険者数は6746万人。前年から13万人ほど増加しています。

 

そのうち国民年金の第1号被保険者数は1471万人で前年から34万人減少、厚生年金被保険者数は4428万人で前年から70万人ほど増加しています。また公的年金受給者数(延人数)は7543万人で、重複のない公的年金の実受給権者数は、4067万人です。

 

公的年金受給者の年金総額は55兆6千億円で、前年から2千億円ほど増加。国民年金の受給権者数は約3299万人で、平均受給額は4万9232円。厚生年金保険(1号)の受給権者数は約1598万人で、平均受給額は14万4268円です。

 

老齢厚生年金の受給金額を年齢別に見ていきましょう。

 

60歳 91,304円
61歳 58,881円
62歳 61,048円
63歳 78,886円
64歳 81,279円

出所:厚生労働省『平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』より


繰り下げ受給となる60~64歳の平均受給金額は各年齢10万円以下。年金だけで暮らしていくことは難しい金額です。

 

一方、基本的な受給年齢である65歳になると144,064円、75歳で14万7,957円です。

 

仮に単身男性だと仮定すると、65歳以上高齢者の暮らしぶりからすると年金だけで暮らしていける、ぎりぎりの水準です。

 

【男性単身世帯(65歳~)の月の支出】

消費支出 13万6923円
 食費(外食含む) 4万687円
 住居費 1万1182円
 光熱・水道費 1万2549円
 家具・家事用品 4006円
 服飾費 2084円
 保険・医療費 8026円
 交通・通信費(自動車関連費含む) 1万7422円
 教育娯楽費 1万5338円
 その他(散髪、タバコ、交際費等) 2万5631円

出所:総務省『家計調査』(2019年)より

 

毎月、厳しい…(※画像はイメージです/PIXTA)
毎月、厳しい…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

ただしマイホームを購入しローンを完済済みであったり、実家を相続していたりと、住まいの形はさまざま。賃貸の場合は、統計にあるような「住居費1万1182円」でおさめるのは難しいでしょう。どのような住まいのカタチであれ、純粋な年金暮らしは不可能、というのが現状のようです。

 

また各年齢の受給金額は、おおよそ14~15万円程度ですが、80歳を超えると16万円代になります。これは法律の改正が影響していると考えられます。以前は年金の受給年齢は60歳でした。それが段階的に引き上げられ、同時に年金額自体も見直しになったのです。

 

高齢化がさらに進行しているなか、65歳の受給開始が、70歳になり、75歳になり……と引き上げらる可能性はゼロではありません。その際、受給金額の見直しがされる場合も。どんな状況になっても、年金に頼らずして暮らしていけるだけの貯蓄があることが、老後の安心につながります。早め早めの資産形成が大切です。

 

 

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