ベンチャーキャピタルによるハンズオンで「最も重要なこと」

一般的なベンチャー企業の成功率は0.03%。さらに言えば、国内ベンチャー企業と海外ベンチャー企業を比較すると、国内はまだまだ未熟で改善すべき点が多くみられるというのが実情です。成功するには、どうすればよいのでしょうか? 20年以上もの間、多くのベンチャー企業の成功と失敗を見てきた筆者は「できるなら起業前、または起業後の早い段階で知識を得るに越したことはない」と語ります。ベンチャーキャピタルの視点から「成功確率を上げる」ために必要な知識とノウハウを解説。

医師の方はこちら
無料メルマガ登録はこちら

リスク満載だからこそ「許容できるレベル」を設定

投資がリスク満載なのは当たり前で、リスクのあるベンチャー企業への投資ができるからこそベンチャーキャピタルの存在意義がある。

 

ではベンチャーキャピタルは、どんなリスクでも受け入れるかというと、そうではない。これはベンチャーキャピタルによって違うだろうが、我々の場合は、許容できるリスクをほぼ明確にしている。

 

まず、受け入れられるリスクの代表格は開発リスクである。医療機器の場合は、患者に使って初めて結果が出るような製品が多く、例えば、動物実験等の非臨床試験で完璧な結果が出ていたとしても、ヒトでの使用では全くうまくいかないということも十分にあり得る。非臨床試験等で概ねそのリスクレベルは予想できるので、感覚的には創薬ベンチャー企業ほど、高いリスクはないと思うが、それでも一定レベルのリスクは避けられない。

 

しかし、これは医療機器のベンチャーキャピタルでは当然のリスクであり、これを避けていたら投資先はなくなってしまう。このリスクをどのレベルなら受け入れ、それに対してどのくらいのリターンが見込まれれば良いのかというのは各投資家のスタンスにもよる。

 

絶対に許容したくないリスクは、将来の販売リスクだ。予定通りに開発が完了し、薬事承認も取得したのに、全く売れない。日本での医工連携の失敗事例のほとんどがこれにあたるが、その大半は実は起業前、製品開発前に適切な調査を実施していれば避けられるものばかりである。加えて、マーケティング・販売戦略一つで売上が大きく上下するような製品には投資はしない。

 

投資家としての納得感としても、前者の開発リスクは仕方ないと思えるのだが、後者の販売リスクは後悔が残る。私が投資をして失敗に終わったベンチャー企業は今のところ開発段階での案件だ。投資時点での判断に後悔はなく、間違ってはいなかったと思える。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

「いつまでもハンズオン」な企業は、投資先として論外

ハンズオンとは、すなわち、経営に深く関わっていくことを意味するが、この呼び名からも「手取り足取り」細かく経営を助けていくようなイメージをもたれていることが多い。

 

私が以前働いていたベンチャーキャピタルは、ハンズオンによる経営支援を売りにしていたが、非常勤でしか働かないベンチャーキャピタリストにできるハンズオンとはどのようなものだろうか。中には、投資先の従業員のごとく、付きっ切りでサポートしたり、細かく管理してマイクロマネージメントをしたりするところもあるが、マンパワー的に限界はある。

 

また、そういったサポートをいつまでも必要とするベンチャー企業は経験上、あまりうまくいかない。細かく管理しなくても、最初に少し教えれば、あとは自力で遂行できる経営陣でなければうまくいかない。つまり、それができる経営陣がいるところに投資をすることが重要であり、できない人はいつまで経ってもできないし、そんなベンチャー企業が成功する確率は低い。

 

必要な助言はしなくてはならないし、助けを求められたら全力でサポートする。そのためベンチャーキャピタルは、お父さんやお母さんのような立場であるべきと、よくいわれる。しかし、その人生を歩んでいくのは子ども自身なのだから、手を掛け過ぎてはいけない。

 

私自身も投資先の多くに取締役として参画しているが、もっとも大切なのは、事業の方向性や、エグジットまでのビッグピクチャーについて、適切なアドバイスをすることだと思っている。ベンチャーキャピタルは所詮、投資先の全てを知ることはできないし、投資先のほうがその分野や技術についての知識は豊富である。医療分野であれば、最低限、彼らと話ができるだけの知識や経験が必要とはいえ、それぞれのプロにはなれない。

ハンズオンが最も活きるのは「方向性に迷ったとき」

一方で、ベンチャーキャピタルとして多くの会社を見てきた我々にしかできないこともある。それは成功するために、どういう方向性で事業を進めていくか、である。これについては、数多くの成功事例を見てきたベンチャーキャピタリストだからこそ、アドバイスできるし、発言にも説得力がある。起業家は、成功経験がない人が大多数で、成功していても、数件程度だ。

 

数多くの成功事例を内部から見てきた起業家はあまりいない。経営者は孤独だといわれるが、一人で悩んでいるとき、迷っているとき、「この方向性で行こう」と自信をもって言える投資家でいたいし、これこそがハンズオンで最も重要なことだと考えている。

 

我々の場合は、ハンズオンをしたいという希望は一切ない。できることなら、「ハンズオンなど一切必要ない」という投資先ばかりで、なにもしなくとも成功してくれるのが理想だし、そうなれば成功率は上がるだろう。実際に海外の投資先の多くはハンズオンを必要としていないが成功率は高い。

 

 

大下 創

MedVenture Partners株式会社 代表取締役社長


池野 文昭

MedVenture Partners株式会社 取締役チーフメディカルオフィサー

医師

 

 

【6月開催のセミナー】

【6/12開催】10年間年10%利回り保証…ベトナム「5つ星スパリゾート投資」

 

【6/13開催】「家族信託」で実現!財産管理、資産承継、相続税対策

 

【6/17開催】「利回り44%」「投資資本利回り223%」超減価償却節税商品

 

【6/19開催】「児童発達支援事業」…1事業所売上3,000万円強利益1,000万円も!

 

【6/19開催】資産になる別荘…国内最強の別荘地「軽井沢」のすべてを学ぶ2021

 

【6/19開催】中古1棟アパート投資利回り20%売却益2千万円を狙う

 

【6/24開催】日本一富裕層に詳しい税理士による「2021節税対策

 

【6/24開催】小規模保育園投資…初期投資1000万円、年間収益500万円

 

【6/24開催】最強の不動産投資ノウハウ…利回り20%以上の投資能力を身に着ける

 

少人数制勉強会】30代・40代から始める不動産を活用した資産形成勉強会

 

医師限定】資産10億円を実現する「医師のための」投資コンサルティング

 

【対話型セミナー/複数日】会社員必見!副収入を得るために何をすべきか?

 

【40代会社員オススメ】新築ワンルームマンション投資相談会

MedVenture Partners株式会社 代表取締役社長

1969年生まれ。1997年から20数年の医療機器業界(事業会社・ベンチャーキャピタル)での経験を有する。

投資先の成功をきっかけに、2005年、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)で現地採用され、米国医療機器ベンチャー企業への投資を約5年間担当。
海外投資での成功率はこれまで通算8割を上回り、複数の投資先が時価総額1000億円超を達成している。

投資先が開発した製品は、世界中で多くの患者を救っており、代表的なものに治療法のない巨大脳動脈瘤の治療を可能にしたPipeline Stent等がある。

2013年、池野とともに、国内初の医療機器専門のVCであるMedVenture Partners株式会社を創業。1号ファンド(60億円)に続き、2019年に2号ファンド(99億円)を設立し、国内でも成功事例を生みだし、多くの投資先で社外取締役を務めている。

著者紹介

MedVenture Partners株式会社 取締役チーフメディカルオフィサー 医師

浜松市出身。1967年生まれ。自治医科大学卒業後、9年間、僻地医療を含む地域医療に携わり、日本の医療現場の課題、超高齢化地域での医療を体感する。2001年渡米。スタンフォード大学循環器科で研究を開始し、以後、多くの米国医療機器ベンチャー企業の製品開発に創業当時から携わる。

また、医療機器大手も含む、同分野での豊富なアドバイザー経験を有し、日米の医療事情に精通。研究と平行し、2014年からスタンフォード大学バイオデザイン講座で、医療機器分野・起業家養成プログラムの講師として教鞭をとっており、ジャパンバイオデザインの設立にも深く関与。日本にもシリコンバレー型の医療機器エコシステムを確立すべく、精力的に活動している。

著者紹介

連載医療機器開発とベンチャーキャピタル~起業成功の必須予備知識

※本連載は、大下創氏、池野文昭氏による共著『医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編

医療機器開発とベンチャーキャピタル 実践編

大下 創
池野 文昭

幻冬舎メディアコンサルティング

起業を目指す「医師」「研究者」「医療機器開発者」必読! 医療機器ベンチャーの“成功確率を上げる”ために必要な知識とノウハウとは? 筆者は医療機器開発に特化したベンチャーキャピタリストとして、20年以上、数多くの…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧