民法には「寄与分」という、被相続人の資産形成に貢献したり、看護に手を尽くしたりした相続人に対し、相続時に寄与分を上乗せする制度がありました。しかし、2019年7月1日以降の相続から、法定相続人以外の親族に「特別寄与分」という制度が適用されるようになり、法定相続人でない、たとえば被相続人の子の配偶者等にも配慮されるようになりました。詳しく見ていきましょう。

相続税の申告手続きで国税庁の「通達」が重要なワケ

「通達」とは行政機関の内部で事務取り扱いを統一するための指示ですが、国税庁が出す税法解釈についての通達は実務で大きな影響力をもっています。

 

●相続税において特に重要なのが「財産評価基本通達」

 

相続税に限らず、税金の実務では国税庁の「通達」が非常に大きな意味をもつとされます。

 

「通達」とは本来、特定の行政機関の内部において、上級機関が下級機関に対して、事務の取り扱いを統一するために出す指示のことです。

 

国税庁の「通達」も基本的に、全国の国税局や税務署に対する指示であって、「通達」によって税金をかけたり、課税の条件を変更したりすることはできません。

 

しかし、国税庁の出す「通達」のうち税法の解釈についての通達は、実務において大きな影響力をもっています。税法には税金についてのさまざまな規定が設けられていますが、細部については解釈によるところもあり、税金を納める側としては国税庁の考え方(通達)を理解しておくことで安心して申告納税が行えます。

 

相続税法では、財産の評価に関しては、特定の財産のみその評価方法が規定されており、その他の財産は「時価」による旨だけ規定(相続税法22 条)されています。

 

そこで、相続税において重要となるのが「財産評価基本通達」です。相続税がかかる財産の評価をどうするか、特に土地や建物など不動産について細かく定めています。

 

また、第1章総則の第6項(総則6項)では「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」としており、時として絶大な効力を発揮します。

 

要は、財産評価基本通達による評価であっても、その評価額が相続税法22条でいう「時価」から見て、著しく不適当な額とみなされれば、国税庁長官の指示で相続税評価額を変えることができるというものです。

 

実際、タワーマンションを相続直前に購入し、相続発生後にすぐ売却したケースなどでこの総則6項が適用され、行き過ぎた節税対策が否認された裁判例(令和元年8月27日東京地裁)があります。

 

 

税理士法人チェスター

知らないと損、分かれば安心 相続税の申告80のギモン

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