「孫が奨学金や学費の工面で苦しむ」…祖父母の立場からするとなんとかして避けたいことでしょう。本記事では、岡野雄志税理士事務所所長の岡野雄志氏が「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」について解説します。

可愛い孫の成長「自分も大切にしながら」見守る方法

教育資金の一括贈与の対象となる支払いは、大きく分けて以下の3種類になります。

 

1. 学校等へ直接支払う費用

 

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学・入園試験の検定料等。

学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費等の学校等における教育に伴って必要な費用等。

なお、学校等とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学・大学院、専修学校・各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園、保育所等です。

 

2. 学校以外の教育を受けるため支払う費用

 

学習塾、そろばん塾、水泳・野球等のスポーツ教室、ピアノ・絵画等の文化芸術教室等。

上記の教室等で指導を受けるために必要な教材等の物品を購入するための費用。

 

3. 上記1、2以外

 

学生服や学生カバン等学校等が認めた業者への支払い、通学定期券代、留学のための渡航費といった交通費等。

※ただし、2、3の支払いについては、非課税枠は500万円まで。

 

実は、教育費の「都度贈与」はもともと非課税です。例えば、孫が入学したタイミングで入学費を払う、留学試験に合格したら渡航費を払う…という場合だともともと課税対象ではありません。ただし、まだ入学前なのに学費を払ってしまうと、贈与税が課されます。

 

また、1年の間に1人に対する贈与額が110万円までなら、贈与税は非課税となる「暦年贈与」という方法もあります。「都度贈与」「暦年贈与」「教育費の一括贈与」は併用可能です。

 

例えば、高齢なので相続が発生する前にまとまった額の教育資金を孫に贈与したい。…こんな場合、「教育費の一括贈与」は確かに適しているかもしれません。しかし、税法改正で相続発生までの年数に関係なく、「管理残額」に相続税がかかる4月からはどうでしょうか。

 

「教育費の一括贈与」に飛びつく前に、まずは「都度贈与」と「暦年贈与」を検討されることをおすすめします。孫の将来も大事ですが、長生きになった現代、まずはご自身の将来です。生前贈与には様々な方法がありますので、実行前に専門家へ相談してみるのも大切です。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

Jさん夫妻は、今、所有する賃貸アパート等を売却し、一時払い年金や養老年金への加入を検討されています。新型コロナが終息したら、ご夫婦で海外旅行にも行く予定です。祖父母が老後を楽しむ姿も、お孫さんへの良いギフト、人生教育になるのではないでしょうか。

 

岡野雄志

岡野雄志税理士事務所

 

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