政府の年金運用「儲かっているか、損しているか」答えなさい

新型コロナを恐れている人は、決して少なくないはずです。しかし、実際のウイルスの脅威以上に「恐ろしく思う気持ち」が大きくなり過ぎ、アンバランスな状態に陥っている人も相当数いるのではと推察されます。社会生活に過剰な不便さを生みだし、ときには精神的な疲弊や金銭的損失も呼び込んでしまう、日本人が陥りやすい「悲観バイアス」について、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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コロナを「必要以上に恐れてしまう」心理

人々がコロナを怖がる理由として大きいのは、「未知の感染症なので、なにが起きるかわからない」という点ではないでしょうか。「見たことのない怪獣が現れたら怖い」ということと同様です。

 

ですが、コロナの感染拡大がはじまってから、すでに1年以上が経過しています。人々は、少しずつ「コロナ慣れ」をしてきたはずです。

 

また、「海外では実際に大流行していて死亡者も多いため、日本でも同様のことが起きるかもしれない」との考え方も大きいかもしれません。

 

ですが、アジア諸国は欧米とくらべて感染者数が圧倒的に少ないという事実を鑑みれば、アジアと欧米には、なにかしら大きな差異がありそうです。欧米が多いからきっとアジアも…と、単純に結びつけられないかもしれません。

 

そして最後のひとつが、本記事が論じたい「悲観バイアス」です。世間には、楽観的な情報より悲観的な情報のほうが出回りやすいため、人々は悲観的な情報に多く接することになり、新型コロナを必要以上に怖がっている可能性がある、ということです。

 

以下、新型コロナ関連に限らず、一般論として「世の中には悲観論が出回りやすい」という点について説明していきましょう。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

情報発信者の「インセンティブ」について考えよう

読者の皆さんは「情報発信者のインセンティブ」について考えてみたことはありますか? 楽観的な発言は発言者の得にならない場合が多く、悲観的な発言のほうがインセンティブになりやすいのです。

 

新型コロナに関していえば、「大流行の心配は小さいから、経済活動を活発化しよう」といってしまうと、万一大流行したときに批判されかねません。しかし、「大流行するかもしれないから、みんなで気をつけよう」といっておけば、大流行しなくても「皆が気をつけた結果だ」と結論づけることが可能でしょう。

 

同様に、社内のプロジェクト会議で見通しを聞かれたときに、「大丈夫でしょう」と答えるのは得策ではありません。「なにも考えていない奴だ」と思われるリスクがあるばかりか、万一なにかが起こったときには、「見通しが甘いせいだ」と批判されかねないからです。

 

一方で、「こんな問題点があり、こんなリスクがあります」と答えると、いろいろと物事を深く考えている知的な人物だという印象を持たれることになります。なにも起きなかったとしても、非難されることもないでしょう。

 

ビジネスにおいて、担当者の立場で見通しを聞かれた場合は、このインセンティブが一層強く働きます。「大丈夫です」と答えていたのに失敗したら、「お前が悪い」と非難されますが、「心配です」と答えて成功すれば、「数々の問題点を克服してくれて、ありがとう」と感謝されるからです。

 

儲かっている人や、潤沢な資産でラクに暮らしている人は、周囲の妬みを買うのを恐れて黙っていることが多いものです。そのため、聞こえてくる声だけを拾い上げると、みんなが生活に困っているような印象を受けかねません。

 

企業の場合、悲観論を述べるインセンティブがさらに大きくなります。なぜなら「儲かっています」といってしまうと、労組が賃上げを要求したり、下請けが部品の値上げを要求したり、税務署が調査にきたりしかねません。黙っているほうが得なのです。

 

一方で、経営が苦しい会社は「ボーナスは出せません! 部品会社は値下げをお願いします! 政府にはご支援をお願いします!」と、大きな声を出すかもしれません。

 

このように、悲観的な発言のほうが耳に入りやすいのです。

マスコミは、数字が取れる「悲観論」が大好物

評論家は「米国にはこんなリスクが、中国にもこんなリスクが、国内だってこんなリスクがありますから、来年の日本経済は楽観できません!」などと語れば、面白い話をする人として、客の人気を得ることができます。もしかしたら、マスコミにも登場できるかもしれません。

 

一方で、「米国、中国、国内ともに特段のリスクは見当たらないので、来年の日本経済は大丈夫でしょう」などという評論家は、話が面白くありませんから、客の人気を得ることはむずかしいでしょう。

 

同じ理由で、マスコミも悲観論を好みます。「大災害の可能性は小さい」と書くより「大災害の可能性に要注意」と書いたほうが売れますから。もっとも、これはマスコミが悪いというよりも、悲観論を読みたがる読者の問題かもしれませんね。

 

マスコミのなかには、「政府を批判するのがわれわれの役割だ」と考えているのか、困ったことばかり書くところもあるようです。マスコミの役割は政府の監視なのですから、いいことはいい、悪いことは悪い、と書いてほしいのですが…(笑)。

 

野党はマスコミと異なり、政府の批判が仕事の一部でしょうから、困ったことばかりいうのは理解できます。もっとも、これについては情報の受け手も身構えて聞くため、悲観バイアスを修正して受け取っている人が多いはずで、むしろ問題は軽微だと思われます。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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